花様年華

2000年
監督 ウォン・カーウァイ 出演 トニー・レオンマギー・チャン
(あらすじ)
1960年代の香港。新聞社に勤めているチャウ(トニー・レオン)と商社で社長秘書をしているチャン(マギー・チャン)は、ちょうど同じ日に同じアパートの隣同士の部屋に引っ越してくる。二人とも既婚者だが、チャウの妻は残業のために毎日帰りが遅く、チャンの夫も出張のせいで不在がち。そんなある日のこと、二人はそれぞれの妻と夫が不倫関係にあることに気づいてしまう…


トニー・レオンカンヌ国際映画祭の男優賞に輝いた大人の恋愛映画。

正直、この手の映画にはあまり縁がないのだが、先日、娘と一緒に見た「メットガラ ドレスをまとった美術館(2016年)」の中で紹介されていた本作の映像がとてもキレイだったことが強く印象に残っており、U-NEXTで見られるのを良いことに、ついツマミ食いをしてしまった。

さて、ストーリーは、それぞれのパートナーに浮気をされてしまった男女が、お互いの傷を舐め合っているうちに恋に落ちてしまうという、まあ、少々情けない話なのだが、トニー・レオンマギー・チャンという絶世の美男美女コンビを起用した効果は絶大であり、惨めったらしい印象を全く感じさせない作品に仕上げられているところが先ず以て素晴らしい。

何故、マギー・チャンカンヌ国際映画祭の女優賞に選ばれなかったのかは知らないが、本作の最大の成功要因が、様々なチャイナドレスを身に纏った彼女の素晴らしいプロポーションにあることは明かであり、正直、彼女の立ち居振る舞いをボーッと眺めているだけでとても幸せな気分になってしまう。

本作には直接的な性描写は一切登場しないのだが、シンプルなチャイナドレスを身に着けた彼女が醸し出すエキゾチックな雰囲気は絶品であり、平凡なベッドシーンなんぞとは全く比べものにならないくらいエロチック。それを引き立てている衣装や照明、カメラワーク等々も素晴らしかった。

ということで、作中、ナット・キング・コールの歌うラテン・ナンバーがとても効果的に使用されており、こちらも久しぶりにうっとり聴き惚れてしまう。昔はジャズやロックの合間に時々聴いて楽しんだものだが、以前、LPレコードを大量に処分した際に一緒に手放してしまったのが悔やまれるところ。彼の深みのある歌声は、CDよりもレコードで聴く方がしっくりくるような気がします。