1917 命をかけた伝令

今日は、妻&娘と一緒にアカデミー作品賞にもノミネートされた「1917 命をかけた伝令」を見てきた。

英米では既に1月10日に一般公開されているのだが、アカデミー賞人気を当て込んだと思われる我が国ではそれから一月以上遅れての公開。残念ながら受賞の方は撮影賞、視覚効果賞、音響賞といった裏方部門(?)のみに終わってしまったが、まあ、久しぶりの戦争映画も悪くないかと思い、いま一つ反応の鈍い妻&娘を急かすようにして映画館へ向かう。

さて、ストーリーは、第一次世界大戦西部戦線に参加した若き二人のイギリス兵の物語であり、ある日突然、将軍の前に呼び出された彼らは、ドイツとの最前線にいる第二大隊の指揮官あて攻撃中止の命令を届けるという重大任務を与えられる。どうやらその部隊はドイツ軍が仕掛けたワナに嵌る寸前のようであり、攻撃を中止しないと全滅は必至!

そんな訳で、二人は攻撃が始まる翌朝までに攻撃中止の命令書を届けることになるのだが、ドイツ軍が撤退したばかりの戦場にはワナが仕掛けられていたり、何らかの理由で逃げ遅れた敗残兵が潜んでいたりで危険がいっぱい。観客は、どこから弾が飛んでくるかというドキドキ感と、翌朝までに命令を伝えられるかというハラハラ感の両方を同時に味わうことが出来るという寸法。

まあ、主役が二人しかいないため、そう簡単に弾に当たることはないだろうと自分に言い聞かせながら見ていたのだが、それでもついつい肩や両腕に力が入ってしまう故、見ていてとても疲れる。幸い、ドキドキ感に関しては脚本も手掛けているサム・メンデス監督のご厚意(?)により、あざとい演出は見られなかったが、鑑賞後、妻からは“疲れる映画はもうコリゴリ”と苦情(?)を言われてしまった。

一方のハラハラ感に関しては、時間の経過や主人公の現在地等が見ていてよく分からないため、あまり伝わってこないのが残念。登場人物のセリフによってでも良いから、“あと○時間で○kmを走破しなければならない”という途中経過を観客に伝えてくれていたら、もっとハラハラ感が強まっていたのかもしれない。

ということで、“全編ワンカット”が売りの映像はとても美しくて自然であり、アカデミー撮影賞は納得の出来。ただし、この撮影方法を採用する場合、(おそらく)スタントマンを使えないのが大きな弱点であり、滝つぼへの落下シーンを含めてすべて一人で演じきったジョージ・マッケイ君には、心からお疲れさまとねぎらいの言葉をお掛けしたいと思います。