それでも夜は明ける

今日は、休日出勤の妻の了解を得て、娘と一緒に「それでも夜は明ける」を見に行ってきた。

先日発表されたばかりのアカデミー賞で見事作品賞、助演女優賞、脚色賞の三冠に輝いた作品ということで、さぞかし人気も高まっただろうと予想していたのだが、映画館の客入りはほどほどといったところ。まあ、テーマがあまり日本人に馴染みが無かったせいもあるのかなあ。

さて、見終わってからの最初の感想は、“いかにも作品賞らしい立派な作品だなあ”というものであり、アメリカの黒人奴隷制度の恐ろしさ、醜悪さを真正面から描いている。ラストは、まあ、ハッピーエンドと言っても良いのだろうが、実話に基づいているため、胸のすくような爽快感とは無縁であり、むしろある種の徒労感の方が色濃く残っている。

主人公のソロモンは、生まれながらの“自由黒人”であることが証明されたことにより、無事、地獄のような奴隷生活から脱出することが出来るのだが、ただの黒人でしかない彼の奴隷仲間は依然として地獄に止まったまんま。当然、主人公には如何ともしがたいことなのだが、彼の幸せが他の奴隷たちの不幸を一段と際立たせてしまっていのがとても哀しかった。

ということで、「アメリカン・ハッスル(2013年)」のジェニファー・ローレンスを蹴落として助演女優賞を獲得したルピタ・ニョンゴが演じていたのは、中でも最も不幸せな黒人奴隷のパッツィー。まあ、演技以前の話のような気もしないではないのだが、あのムチ打ちシーンの痛そうな描写は強烈であり、これだけ痛い目に合わされればアカデミー賞の一つくらい貰ってもバチは当たらないと思ってしまいました。