アメリカン・ハッスル

今日は、妻と一緒に、今年のアカデミー賞の有力候補作品の一つである「アメリカン・ハッスル」を見に行ってきた。

結論を先に言ってしまうと、まあ、評判どおりとても面白い作品だったのだが、コメディにもかかわらず、見終わった後、いまひとつ爽快感に欠けるところがちょっとだけ不満。その原因は明らかであり、主要登場人物が一癖あるキャラクターばかりであるため、観客が感情移入しづらいせいだろう。

主人公のアーヴィングは、ハゲでデブという愛すべきハンディキャップ(?)の持ち主なのだが、少々我が身の保身に走りすぎる性格が鼻につき、ラストのハッピーエンドも素直に喜べない。彼に扮したクリスチャン・ベイルは体重を20kg増やしての熱演だったものの、主演男優賞はちょっと難しいと思う。

一方、一番目立っていたのは、アーヴィングのバカ嫁ロザリンに扮したジェニファー・ローレンス。出番はあまり多くないものの、終盤になるほど存在感を増していき、最後にはヒロインのエイミー・アダムスを完全に喰ってしまっている。キャラ的にも、息子の親権を取り上げられた上に新しい旦那のDVに苦しめられる等、同情すべき点が多く(?)、十分に助演女優賞を狙える怪演だった。

ということで、感情移入しにくいキャラをこれだけズラッと並べてみせたのは、おそらく監督のデヴィッド・O.ラッセルの“故意”であり、まあ、それだけ玄人向けを狙ったということなんだろう。彼が本作で監督賞(or作品賞)を受賞できるかどうかは、その試みに対する評価次第のような気がします。