ブルックリン

2015年作品
監督 ジョン・クローリー 出演 シアーシャ・ローナンエモリー・コーエン
(あらすじ)
アイルランドの田舎町エニスコーシーで母や姉と幸せに暮らしていたエイリシュ(シアーシャ・ローナン)。しかし、不景気なアイルランドではちゃんとした職業に就くことは出来ず、そんな妹を心配した姉ローズの勧めもあって、単身アメリカに渡ることを決意する。過酷な船旅の末、ようやくブルックリンでの新生活を始めたエイリシュだったが、慣れない環境とホームシックに苦しめられた彼女は…


第88回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、主演女優賞の3部門にノミネートされた作品。

物語は1950年代のアイルランドの田舎町エニスコーシーから始まるのだが、そこでは女性の社会進出なんてマダマダといった状況であり、幸せになるためには資産家のドラ息子を見つけて結婚することが一番の早道。しかし、シアーシャ・ローナン扮するエイリシュは(何と!)男子に相手にされない地味〜な女の子という設定であり、まあ、そんなところが彼女のアメリカ行きを決心させた理由の一つだったんだろう。

ところが、ブルックリンでの新生活を通じて自信に満ちあふれた魅力的な女性へと生まれ変わったエイリシュが、姉ローズの突然の死を契機に故郷のエニスコーシーに一時帰国してみると彼女を取り巻く状況は一変。昔は見向きもしてくれなかった資産家の息子であるジム君からデートに誘われるわ、姉の後任として簿記の仕事に就くことはできるわで、独りぼっちになってしまった彼女の母親も大喜び。

まあ、観ている方からすればシアーシャ・ローナンは最初から美人なので、いまひとつピンとこないところもあるのだが、とにかくエイリシュの心はブルックリンに残してきた“夫”であるイタリア移民の配管工トニー君(エモリー・コーエン)と金持ちで教養もあるジム君との間で大きく揺れ動くことになる。

で、迷いに迷った挙げ句、最後の決め手になるのがエニスコーシーの社会に内在する保守性・閉鎖性と移民の彼女を温かく迎えてくれたブルックリンの寛容さとの違いであり、正気を取り戻した彼女はトニー君の元へ戻って無事ハッピーエンド。反トランプ色の強かった今年のアカデミー賞なら作品賞くらい穫っていたかもしれないなあ。

ということで、映像は綺麗だし、ストーリーも面白いということでなかなかの佳作に仕上がっているのだが、やはり最大の魅力は主役のシアーシャ・ローナン。あの「つぐない(2007年)」に出ていた頑な少女がこんな素敵な女性に成長していたのはちょっとした驚異(?)であり、彼女の今後の動向から目を離すことは出来ません。