今日は、妻と一緒にウディ・アレンの「ブルージャスミン」を見に行ってきた。
実は、“文化果つる街”宇都宮でこの手の作品が上映される筈はないと思い込み、完全にノーマークだったのだが、妻から“何か映画でも…”と言われて調べた結果、本作を発見して吃驚仰天。おそらく、ケイト・ブランシェットが本作の演技でアカデミー賞の主演女優賞に輝いたことが影響したのだろう。
さて、ストーリーは、実業家の妻として何不自由のない生活を送っていた主人公が、夫の失脚により経済的にも精神的にも没落していく様子を描いたものであり、とても悲惨な内容ではあるものの、主人公の前向きでめげない姿勢のおかげで、何とかギリギリのところでコメディ映画として成立している。
まあ、彼女のこのような姿勢は、自分に都合の悪いことからは(無意識のうちに?)目を反らしてしまうという病的な性向に起因するものであり、その先に待っているのは破滅しかないのだが、彼女から負け犬の烙印を押されてしまった観客の大多数は、それに対しても喝采を送ることになるため、やはりコメディ映画であることの支障にはならない。
ストーリーは、現在と回想シーンとが度々交差しながら進んで行くのだが、両者間における経済格差が著しく大きいため、見ていて混乱をきたすような心配は全く無い。まあ、これが我が国が向かおうとしている社会の姿だと気が付けば、のんきに笑っていられるような話では無いのだが…
ということで、主演のケイト・ブランシェットの存在感は圧倒的であり、彼女に主演女優賞を与えた映画芸術科学アカデミーの判断に何の異論も無いのだが、来年あたり公開予定のホビット・シリーズの完結編でガラドリエルを演じる彼女を見たとき、少々の違和感を覚えないかだけが、ちょっぴり心配です。