キャロル

2015年作品
監督 トッド・ヘインズ 出演 ケイト・ブランシェットルーニー・マーラ
(あらすじ)
1950年代のニューヨーク。テレーズ(ルーニー・マーラ)の働く高級百貨店のおもちゃ売り場に、娘へのクリスマスプレゼントを買いにきたキャロル(ケイト・ブランシェット)という女性が現れる。彼女が忘れていった手袋をテレーズが自宅まで郵送してあげたことが縁となり、二人の仲は急速に接近していくが、キャロルには離婚調停中の夫ハージがおり、娘の養育権に関して揉めている最中だった…


昨年のアカデミー賞で主演女優賞と助演女優賞を含む6部門にノミネートされた作品。

主演女優賞にノミネートされたのはケイト・ブランシェットの方であり、ルーニー・マーラは“助演”扱いなのだが、実質的にはこの二人のダブル主演というべき作品であり、画面に映っている時間からしたら、むしろルーニー・マーラの方がちょっと長かったんじゃないのかなあ。

まあ、いずれにしても、我々男性ファンにとってみれば、このタイプの異なる二人の美女を一度に拝められるという誠に有り難い作品なのだが、残念なことに(?)キャロルもテレーズも同性愛者という設定であり、正直、本作において男の出る幕は一切ない。

哀れなのは、それを理解できないキャロルの夫ハージであり、彼女の性的嗜好を“一時の気の迷い”くらいにしか思っていないため、どうしても美しい妻への未練を断ち切ることが出来ず、娘の養育権をエサにして二人の恋路を邪魔しようとする。まあ、物語の舞台が1950年代ということを考えればやむを得ない面もあるのだろうが、現代の我々から見たらただただ醜悪なだけ。

とはいっても、主演の二人の美しさは本物であり、傍観者に過ぎない我々男性ファンの目も十分に楽しませてくれている。若き日のオードリー・ヘップバーンをちょっと田舎っぽくした感じのルーニー・マーラはとても可愛らしく、これで「ドラゴン・タトゥーの女(2011年)」のイメージを完全に吹っ切ることが出来たんじゃないのかなあ。

ということで、女性としての強さと母親としての弱みを併せ持つ女性キャロルを演じたケイト・ブランシェットの存在感は圧倒的であり、一緒にDVDを見ていた娘が思わず“女神様みたい”と口走ったくらいに神々しく、かつ、美しい。ちょっぴりレトロ感の漂う映像もとても印象的でした。