女王陛下のお気に入り

今日は、妻&娘と一緒に今年のアカデミー賞で9部門にノミネートされている「女王陛下のお気に入り」を見てきた。

エマ・ストーンレイチェル・ワイズの共演というだけで十分ワクワクしてしまうのに、もう一人のオリヴィア・コールマンという女優さんがアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされていると聞いては居ても立ってもいられない。幸い、本作の予告編を見た妻&娘の反応も良好のようであり、エマちゃんの可愛らしい笑顔を思い浮かべながら映画館へ。

さて、ストーリーはスペイン継承戦争当時の英国王室が舞台になっており、虚弱体質で政治への関心も薄いアン女王の寵愛を巡って、モールバラ公爵夫人のサラと彼女の従妹で没落貴族の娘であるアビゲイルの二人が火花を散らすという内容。最初、機転の利く小娘というくらいの軽い気持ちでアビゲイルを取り立ててやったサラだったが、いつの間にか自分の専売特許と思っていた女王への性的奉仕の代行まで務めていることを知って吃驚仰天!

慌てて反撃に出たものの、王室(や夫?)のために必要と思えば女王に対する叱責も厭わないサラに対し、アビゲイルの方は唯々女王の歓心を得ようとするばかりであり、まあ、勝敗の行方は火を見るよりも明らか。実は、アン女王も二人の確執に気付いており、初めの頃はモテモテの状況を楽しんでいたのだが、サラの失脚が決定的になった段階でようやく自分の過ち(=親友を捨て、バター犬を拾ってしまった!)に気付く、っていう結末。

まあ、そんな訳で、単純な勧善懲悪ものとはほど遠い内容になっているのだが、最大の問題はそんなところにあるのではなく、この「女王陛下のお気に入り」という邦題から想像されるようなオシャレで華やいだ雰囲気が皆無であること。コメディーなのは間違いないが、内容は相当にお下品であり、我等がエマ・ストーンの悪女ぶりも強烈すぎてちょっと救いようが無いっていう感じ。

例によって、本作もほとんど予備知識なしで鑑賞に臨んだのだが、監督を務めたヨルゴス・ランティモスという人はなかなかの曲者のようであり、案の定、鑑賞後の妻&娘の評価はいまひとつ。ただし、個人的にはとても面白かったので、機会があれば彼の旧作もDVDで見てみようと思うが、まあ、そのときは一人でこっそり拝見した方が無難なようである。

ということで、保身のために女王の歓心を買おうと腐心するアビゲイルの姿に、公文書偽造や統計不正に走る我が国の官僚の姿を重ねることは容易であるが、やはり社会性という点でライバルの「ROMA/ローマ(2018年)」に劣るため、アカデミー賞の作品賞は難しいかも知れないね。未見の作品が多いため主演女優賞の予想も困難だが、アン女王役のオリヴィア・コールマンの熱演は十分それに値すると思います。