フォードvsフェラーリ

今日は、妻&娘と一緒にジェームズ・マンゴールド監督の最新作「フォードvsフェラーリ」を見てきた。

「LOGAN/ローガン(2017年)」を見て大ファンになったマンゴールド監督であるが、監督を予定されていたスター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ作品「ボバ・フェット」の企画がポシャってしまって大ショック。おそらく、その悲しみを癒してくれるのがマット・デイモンクリスチャン・ベールという最強の助っ人を得た本作のはずであり、期待に胸を膨らませて映画館へ。

さて、ストーリーは、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリの「フォード社は醜い工場で醜いクルマを作っていれば良い」という暴言(?)を聞いて怒髪天を衝いたヘンリー・フォード2世が、当時、フェラーリが4連覇を達成していたル・マン24時間レースへの出場を決意するところから始まる。

そんな無謀な計画に協力することになるのが“シェルビー・アメリカン”率いるキャロル・シェルビー(デイモン)と、彼にスカウトされた一匹狼のレーサーであるケン・マイルズ(ベール)の二人。マイルズは、フォード社のような巨大な組織内では自由な発言が出来ないと最初は躊躇するのだが、結局、シェルビーに説得されてチームに参加することになる。

しかし、そんなマイルズの懸念はすぐに現実のものになってしまい、彼らの前に立ち塞がったのはフォード社副社長のレオ・ビーブ。彼は、会社の方針どおり行動しない恐れのあるマイルズを毛嫌いし、チームから除外しようとするのだが、結局、シェルビーの計らいが奏功してマイルズはル・マンに出場し、見事、フォードを優勝に導く。

実は、最後にビーブの横槍が入るため、勝利の美酒はちょっぴりホロ苦くなってしまうのだが、まあ、本作を見た限りでは真の勝利者がマイルズであることは明白であり、ストーリーとしては比較的シンプルと言って良いだろう。しかし、そんな単純な物語を巧みな演出で骨太の感動作に仕上げてしまうのがマンゴールド監督のスゴいところであり、正直、期待していたよりもずっと面白い。

特に、ほとんどCGを使わなかったというカーレースの映像は、手に汗握るスリリングなシーンの連続であり、マシンを加速させるところではマイルズと一緒になって映画館の床を思い切り踏み込んでしまう。夜間のシーンでは、ブレーキの発熱によってタイヤのホイールが赤く光るところがとても美しく、間違いなく今まで見たカーレース物の中では最高に格好良かった。

ということで、本作を見て思い出したのだが、我が国にも高斎正による一連のカーレース小説群が存在する訳であり、これをマンゴールド監督に監督してもらったら傑作になるのは間違いないだろう。カルロス・ゴーン問題で信用失墜中の日産自動車におかれましては、「ニッサンがルマンを制覇する時」の映画化のスポンサーになることを検討してみてはいかがでしょうか。