カウボーイ&エイリアン

2011年作品
監督 ジョン・ファヴロー 出演 ダニエル・クレイグハリソン・フォード
(あらすじ)
1873年の米国西部。アリゾナの荒野で一人の男(ダニエル・クレイグ)が目を覚ますが、記憶を失っているため自分が誰だかわからず、左腕には奇妙な金属製の腕輪が嵌められていた。やがてたどり着いた町で、男はお尋ね者のジェイク・ロネガンだと言われて逮捕されるが、彼が保安官のもとへ護送されようとしたそのとき、町の夜空に未知の飛行物体が飛来し、人々を連れ去ってしまう….


「アイアンマン(2008年)」のジョン・ファヴロー監督によるSF西部劇。

その町を牛耳っているボスがハリソン・フォード扮するところのダラーハイドであり、主人公の腕輪にUFOを撃ち落すほどの威力が秘められていることを知った彼は、エイリアンに攫われた我が子を救い出すために、主人公等と一緒に旅に出ることになる。

まあ、いかにもおバカ映画っぽいタイトルではあるが、SF西部劇だからといって即おバカ映画とは限らない訳であり、事実、本作も意外なほど真面目に作られた作品だった。特に、画面上にUFOが現れるまでは、例の腕輪を除き、普通の西部劇といって良いほどの内容であり、あのまんまダニエル・クレイグvs.ハリソン・フォード一味の決闘シーンを見てみたかったような気さえしてくる。

一方、UFOが登場してからもストーリー自体は大真面目であり、謎の美女エラのキャラクター設定なんかはSF映画の定番みたいなものなのだが、いかんせんカウボーイとエイリアンとの見た目や能力のギャップが大き過ぎるため、残念ながら、いまひとつ真剣に見ようという気が湧いてこない。

タイトルイメージどおり(?)のおバカ映画であれば、このギャップが大きな笑いどころになるところだが、本作のストーリーではこれが全くの逆効果。リドリー・スコットの「エイリアン(1979年)」以降、すっかりH.R.ギーガー風のエイリアンが主流になってしまったが、本作ではもっと西部劇に似合うデザインの“宇宙人”を登場させるべきだったと思う。

ということで、我が国にも光瀬龍の「多聞寺討伐」のような傑作SF時代劇小説が存在するところであり、誰かに映画化してもらって時代劇風エイリアンを見てみたいような気もするが、まあ、今の邦画のレベルからすれば失望させられる可能性が極めて高く、自分で勝手に想像していた方が無難なようです。