2007年作品
監督 ジェームズ・マンゴールド 出演 ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル
(あらすじ)
南北戦争で片足を負傷したダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)は、妻と2人の息子と一緒にアリゾナで小さな牧場を営んでいたが、生活は苦しく借金のために立退きを迫られていた。そんなある日、逮捕された強盗団の首領ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が遠く離れたコンテンションの駅まで護送されることになり、ダンは200ドルの報酬を目当てにその任務に加わることにする…
デルマー・デイヴィス監督の西部劇「決断の3時10分(1957年)」のリメイクらしいのだが、オリジナルは未見。
先日拝見した「LOGAN/ローガン(2017年)」がとても面白かったので、同じ監督の作品を見てみようと思い手にしたのが本作。マンゴールド監督の作品では「17歳のカルテ(1999年)」や「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年)」は見ているが、やっぱり今回ばかりは西部劇でなくっちゃね!
さて、逮捕されたベン・ウェイドは裁判所のあるユマへ連行されることになるのだが、そこに向かう列車の発車時刻は3日後の午後3時10分。ダンを含む5人の男たちはそれに間に合うようにコンテンションの駅までベンを送り届ければ良いのだが、途中、彼の手下たちがボスの身柄を取り返そうと襲ってくるのは必至であり、うん、この設定自体はなかなか悪くない。
正直、ベンがあまりにも簡単に逮捕されてしまったり、彼と5人の男たちとのスキル差が大きすぎたり(=丸腰のベンによって5人中2人が殺害されてしまうのだが、彼がその気になれば皆殺しにされてもおかしくないシーンが3回程あった。)と、脚本上の粗は相当目立つのだが、主演のお二人の演技力とマンゴールド監督の抑制の利いた演出のおかげで決しておバカ映画にはなっていない。
荒唐無稽なラストも(西部劇であれば)ギリギリ許せる範囲内に収まっており、まあ、粗野な強盗一味の中で絶望的な孤独感を味わってきたベンの心中を察すればあり得ないことでは無いのかもしれない。そんな男の友情の他、(「シェーン(1953年)」とは逆の結果になってしまっているが)父と子のテーマに関しても上手くケリが付けられており、見終わってみればなかなか面白い作品であった。
ということで、実は本作を見る前にTVでやっていた「ウルヴァリン:SAMURAI(2013年)」を見てしまったのだが、こちらはおバカ映画としても不完全燃焼であり、だいたいウルヴァリンの生命線であるヒーリング・ファクターやアダマンチウムをあんなに安易に無力化してしまっては駄目だろう。やはり脚本が決定的に駄目な場合、いくら監督が上手くても面白い作品にはならないんですねえ。