ディズニー・オン・クラシック〜まほうの夜の音楽会2019

今日は、妻&娘と一緒に宇都宮市文化会館で開催された「ディズニー・オン・クラシック〜まほうの夜の音楽会2019」を見てきた。

我が家の今年のミュージカル鑑賞は、劇団四季の「キャッツ」、ケン・ワタナベの「王様と私」、そして松本白鸚の「ラ・マンチャの男」の3作であり、うち英語で聴くことが出来たのは「王様と私」の1作だけ。我が国の経済的衰退を反映してか、とにかく海外からの来日公演が激減しているのが大問題であり、そのうっぷんを晴らすべく宇都宮市文化会館へと駆けつける。

さて、ディズニー・オン・クラシックを聴くのはこれが2年ぶり3回目になるのだが、指揮者がベテランのブラッド・ケリーからリチャード・カーシーに変更されていることを除けば、2年前と大きな違いはない。オーケストラ・ジャパンの演奏する“ワン・マンズ・ドリーム”で第一部が始まると、続いて男女各4名のヴォーカリストたちが登場して素敵な歌声を披露してくれる。

中でも特に素晴らしかったのが「ムーラン(1998年)」からの“闘志を燃やせ!”、“リフレクション”そして“トゥルー・トゥー・ユア・ハート”の3曲。このアニメは来春に実写版の公開が決定しており、それへの期待を大きく膨らませてくれる演奏だったのだが、休憩時間に聞いた娘の話によると実写版はミュージカル仕立てにはなっていないらしい。う~ん、それが本当だとすれば、なんて勿体ないことをするんだろう。

さて、交響詩「ローマの松」(=ザトウクジラの親子を描いたアニメも素晴らしかった。)で第一部が幕を閉じると、休憩時間を挟んでいよいよ第二部のスタート。今年のテーマは「アラジン」であり、オーケストラがお馴染みのメロディを奏でる中、ヴォーカリストの中で最も恰幅の良い男性が観客席から歌いながら登場してくる。

度々見せていたコミカルな仕草からしても、おそらく彼がジーニー役を務めるんだろうと思っていたら、ランプの煙とともに登場したのはそれまで一番目立たなかった男性であり、彼のいきなりのハイテンションな歌声に吃驚仰天。とても楽しい“フレンド・ライク・ミー”で早くも会場内は総立ち状態となる。

その後のアラジンとジャスミンによるデュエット曲“ホール・ニュー・ワールド”が夢のように素晴らしいのは当然のことだが、ミュージカル作品として「アラジン」を見た場合の最大の弱点は、この曲の後に印象に残る曲が無いということであり、せっかく8人もいるヴォーカリストたちも手持ち無沙汰状態。

実写版であれば、新たに追加されたジャスミンの“スピーチレス”が聴けるのだが、今回はアニメ版がベースなのでそのままストーリーは淡々と進んでいき、最後はお馴染みのハッピーエンド。まあ、これだけの楽曲をまるごと聴けたので不満は無いのだが…と思っていたら、何とアンコールで歌ってくれたのがまさかの“スピーチレス”! 本当に最後まで気の利いた素敵なコンサートだった。

ということで、このコンサートに関しては何の不満も無いのだが、東急シアターオーブの公演予定を見ても、「ドリームガールズ」や「天使にラブ・ソングを…」といった再演、再々演作ばかりであり、来年も厳しい状態は続きそう。経済が衰えれば文化が衰退するのは当然のことであり、一日も早いアベノミクスの終焉をお待ちしております。