ミュージカル「王様と私」

今日は、妻&娘と一緒に東急シアターオーブ東急シアターオーブで上演中のミュージカル「王様と私」を見てきた。

今年は興味を惹かれるようなミュージカルの来日公演が少なくてガッカリしていたのだが、そんなところに飛び込んできたのが「王様と私」日本公演決定の大ニュース。正直、渡辺謙の歌唱力に一抹の不安が残らないではないが、2015年のトニー賞再演ミュージカル作品賞に輝いた作品を日本で見られるのはめったにないチャンスであり、喜び勇んで東京へ!

さて、開演は午後5時からなので、それまでのヒマ潰しに選んだのが「アラジンカフェ in OH MY CAFE」。会場となる東急プラザ表参道内の店舗前では大勢のお客さんが興味深そうにメニューを覗き込んでいたが、入場するには事前予約が必要であり、娘に頼んで予約をしておいた我が家は定刻どおりに店内へ案内してもらう。

そこでは現在公開中の実写版「アラジン」の映像が映し出されており、アラジンの魔法のランプカレー&ジーニーのヨーグルトスムージー(俺)、魔法の絨毯のケバブサンド&ラジャーのオレンジスムージー(妻)、ジャスミン&ダリアのカラフルパスタ&“A Whole New World”グレープ風味の星空ドリンク(娘)といった料理&飲み物を注文してから、店内を見学。

しかし、期待していたよりも飾り付けは乏しく、流される映像も映画のトレーラーだけ。おまけに運ばれてきた料理等の味もパッとしないということで、う~ん、これは明らかな看板倒れだなあ。仕方がないので20分程で退出し、原宿名物(?)のチーズドックを食べて口直し。正直、こっちもそれ程美味くはなかったが、とりあえずお腹は膨らんだのでいよいよ本命の東急シアターオーブへ向う。

さて、妻が苦労して予約してくれた席は左側の前から2列目。正面ではないが通路沿いなので視界は良好であり、これなら出演者の表情もバッチリだねえと話しているうちに場内が暗くなり、オーケストラ・ボックスからオーヴァーチュアが流れ出す。未亡人のアンナ(ケリー・オハラ)が一人息子のルイを連れて1860年代のシャム王国にやって来るところから始まるのだが、舞台上にはいきなり大きな船が出現し、うん、つかみはOKだね。

その後のストーリーは、これまで何度も見てきた映画版「王様と私(1956年)」とほぼ同じ内容なのだが、改めて拝見すると、人種や女性差別との関係で結構危険なテーマを扱っていることが良く分かる。しかし、それらを天秤の左右に上手く振り分けることによって絶妙なバランスを保っているところはお見事であり、“昔の話だから仕方ないか”と比較的スムーズに許容できてしまう。

また、そんな危険性を孕んだストーリーを渡辺謙の演技力とケリー・オハラの歌唱力がしっかり支えている点も見逃すことが出来ず、正直、後者の魅力は舞台で実際に見聞きしないとなかなか理解できないんじゃないのかなあ。写真で見たときには“ちょっとフケすぎ?”と思っていた彼女が、みるみるうちにデボラ・カーにもひけを取らない美女へと変身していく様はまさに圧巻!

さらに、急遽出演が決まったらしいチャン夫人役のルーシー・アン・マイルズ(=ケリー・オハラと一緒に2015年のトニー賞を受賞している。)をはじめ、皆さん、歌がメチャメチャお上手であり、心配だった渡辺謙の歌唱力もなかなか見事なもの。やっぱり英語の歌は英語で聴くのが一番だね。

ということで、大迫力の「Shall We Dance?」も異国情緒あふれる「The Small House of Uncle Thomas」も期待を上回る見事な出来映えであり、妻&娘共々大満足な気分で会場を後にする。唯一の気掛かりは、会場でもらったチラシ等にも食指を動かされるような来日公演の情報が見当たらないことであり、ここは何とかシアターオーブさんに頑張ってもらいたいところです。