ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

2017年
監督 三池崇史 出演 山崎賢人神木隆之介
(あらすじ)
高校生の広瀬康一神木隆之介)が引っ越してきた杜王町は、お洒落な西洋風の街並みが人気だが、最近、猟奇的な殺人事件が頻発しているのがちょっと気掛かり。そんなある日、登校中に不良学生に絡まれてしまった康一は、たまたま通りかかった同級生の東方仗助山崎賢人)に助けてもらうが、不思議なことに酷く殴られたはずの不良学生の顔には傷痕ひとつ残っていなかった…


荒木飛呂彦の長編漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を実写化した作品。

正直、単調な格闘シーンばかりが延々と続く「ドラゴンボール」以降の少年漫画はあまり得意ではないのだが、現在、娘と一緒に毎週TVで見ている「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」はそのアメコミ風の凝った作画がなかなか魅力的。そんなこともあって、ちょっと前に公開された本作を怖いもの見たさ半分(?)で見てみることにした。

さて、娘の説明によると、本作は「黄金の風」より一つ前のシリーズに属するエピソードを取り上げているそうであり、舞台になるのは日本国内にある架空の町“杜王町”。そもそもスタンドとは何か、といった類いの状況説明を大幅に簡略化しているのは、まあ、本作の観客の9割以上が原作漫画のファンであろうことを思えば、むしろ英断と言うべきだろう。

また、原作のどこか西欧風な雰囲気を再現するために、国内が舞台であるにかかわらず、スペインにあるシッチェスというリゾート地をロケ地に選んだのも、“安上がり第一主義”が横行する邦画界ではやはり英断と言わざるを得ないのだろうが、う~ん、本作の評価できるところといったらこの2点くらいかなあ。

まあ、原作漫画をよく知らない俺が言うのもおこがましいが、この西洋コンプレックス丸出しの原作(=決して非難している訳ではない。)を体格が貧弱な生身の日本人俳優を使って実写化しようというのはある意味“無謀”であり、当然、CG等による全面的かつ過剰なくらいの“装飾”が不可欠のはず。それが出来ていないため、せっかくの海外ロケが全く活かされておらず、この壮大なはずのストーリーが不良同士のケンカにしか見えなかった。

ということで、タイトルには“第一章”の文字が入っているが、公開後2年弱が経っても“第二章”の噂は聞えてこないので、おそらく続編の企画は没になったのだろう。残念ながら今の日本映画界に優れた漫画やアニメをそれ以上のクォリティで実写化するだけの才能・資本は見当たらず、“ピカチュウ”同様、ハリウッドに期待するしかないのでしょう。