屍人荘の殺人

今日は、妻&娘と一緒に神木隆之介主演の「屍人荘の殺人」を見てきた。

おそらく今週末の映画は「ジュマンジ/ネクスト・レベル」だろうと思っていたが、念のため娘の意向を確認したところ、返ってきた答えは本作。「ドクター・スリープ」の名前も挙がったが、そっちは「シャイニング(1980年)」を見ていない妻&娘には荷が重いだろうということで、予備知識完璧ゼロの状態で映画館へ向かう。

さて、ストーリーは、ゾンビたちによって「紫湛荘」という洋館に閉じ込められてしまった若者たちの間で起きた連続殺人事件を取り扱っているのだが、見終わってから調べたところによると、今村昌弘という人気ミステリー作家の書いた同名小説が原作になっているらしい。

まあ、ミステリーということで、ラストでは3件の殺人事件で用いられた巧妙なトリックが探偵役のヒロイン(浜辺美波)によって見事に解明されるのだが、正直、見終わって一番驚いたのはゾンビの大量発生と連続殺人事件とは基本的に無関係だったという衝撃の事実。結局、前者に関しては何の説明もなされないまま映画は終ってしまう。

娘の説明によると、本作におけるゾンビの存在は洋館という密室を作り上げるための方便に過ぎないらしいのだが、ゾンビの大量発生と連続殺人事件とを秤にかけてみれば前者の方が圧倒的に重大かつ深刻なのは当たり前。犯人を含む当事者たちにしても、まずは洋館からの脱出あるいは外部への救助要請を優先させるべきだったのではなかろうか。

それ以外にも、最初から殺人目的だったにもかかわらず、犯行がかなり場当たり的なこと(=ゾンビ騒動が起きなかったらどうするつもりだったのだろう。)、主人公が部屋のロックの解除方法を全員の前で披露する必然性が希薄なこと(=犯人がそれを知らなければ第二の殺人は起きなかったかもしれない。)等、腑に落ちない点がいくつか見られる。

おそらく「国内ミステリーランキング4冠を達成した」という原作小説の方ではもうちょっと丁寧な説明がされており、それが上映時間との関係でカットされてしまったのだろうが、せめてゾンビに関しては、それが各地で多発していたというような情報をあらかじめ観客に提示しておくこと等により、その異常性を緩和しておく必要があったと思う。

ということで、ストーリー的には原作に劣るかもしれないが、それを補って余りある(?)のが主演のお二人の可愛らしさであり、特に、コナン君同様、“不幸を呼び寄せる体質”の持主であるヒロインの幼少期には興味津々。そんな彼女の回想シーンを盛り込んだ続編を作って頂けるなら、ひょっとするとまた映画館に足を運ぶことになるかもしれません。

(補足)
この日記を書いた後、本作の内容について娘と話す機会があったのだが、そこで明らかになったのは“今の若者たちにとってゾンビはむしろ日常的な存在である”という衝撃の事実であり、「ゾンビの大量発生と連続殺人事件とを秤にかけてみれば前者の方が圧倒的に重大かつ深刻なのは当たり前」という考えは最早成立しないようである。