メッセージ

今日は、妻&娘と一緒にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新作「メッセージ」を見てきた。

苦戦を強いられた「複製された男(2013年)」と同じ監督の作品ということでちょっぴり不安はあったのだが、まあ、本作の評判は良さそうだし、アカデミー賞にノミネートされるくらいの作品ならそう恐れることはないだろう。一応、妻&娘に“同じSFでも先週の「ガーディアン〜」とはちょっと違うから”と断りを入れてから映画館へ向かう。

ストーリーは、突然、地球上の12の地域に現れた宇宙船の乗組員である謎のエイリアン(=通称“ヘプタポッド”)と人類とのファースト・コンタクトの様子を描いており、そのうち米国モンタナ州に現れた宇宙船を受け持つことになった女性言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)が本作の主人公。

案の定、「複製された男」に比べるとずっと理解しやすい内容になっていたが、見終わってからすぐ脳裏に浮かんだ感想は「エイミー・アダムスもしっかりオバサンになったなあ」というのと「ヘプタポッドってトラルファマドール星人だったんだ!」という2点。

前者に関しては、冒頭、愛娘を若くして亡くしたルイーズの悲しい回想シーン(らしき映像)が流れるのだが、その娘がまだ赤ん坊だった頃のルイーズの後ろ姿が既にオバサンだったことに軽いショックを受けてしまう。

これに関しては決してヴィルヌーヴ監督の手落ちでなかったことが後で判明するのだが、それがエイミー・アダムスの現状であることに変わりはなく、(「ナイトミュージアム2(2009年)」での可愛いヒップラインを思い出すとちょっと残念ではあるものの)うん、これからは実力派女優として頑張ってもらいたいと思う。

後者に関しては、カート・ヴォネガットのファンとしてとても嬉しい驚きであり、彼等の言語を学習することにより地球人も過去から未来まで自由に見通すことが出来るようになるというアイデアも秀逸。まあ、あくまでも認識上のことだけに止まるのであろうが、変えることの出来ない未来が見えてしまう人生というのは、とても静かで穏やかなものになるのではなかろうか。

ただし、ルイーズの夫になるイアンが“愛娘の死”という未来に耐えきれずに家を出てしまうという部分だけはちょっと納得がいかないところであり、トラルファマドール星人にとって人の人生は一冊の本のようなものなのだから、何度でも好きなところだけ楽しめば良い筈。俺自身、「スローターハウス5」を読んでから人の死をそれほど厭わしいものとは思わなくなった。

ということで、“何故、3000年後のことで今の時期に地球にやって来たんだろう”と娘と話していたのだが、おそらくこの時期を逃すと国家間の争いによって人類が滅んでしまうからだろうということで意見が一致。さて、現実の我々はトラルファマドール星人の助けなしでも滅亡を避けることが出来るのでしょうか。