テルマ&ルイーズ

1991年作品
監督 リドリー・スコット 出演 スーザン・サランドンジーナ・デイヴィス
(あらすじ)
レストランのウェイトレスとして働いているルイーズ(スーザン・サランドン)は、友人のテルマジーナ・デイヴィス)を誘って一泊二日のドライブ旅行に出掛ける。久しぶりに口うるさい夫から解放されて浮かれ気味のテルマは、途中のドライブインで知り合った男にレイプされそうになるが、彼女を助けようとして現場に駆けつけたルイーズは怒りにまかせてその男を射殺してしまう…


リドリー・スコットアカデミー賞の監督賞に初ノミネートされた作品。

似たような作品に、男同士なら「明日に向って撃て!(1969年)」、男女ペアなら「ボニーとクライド/俺たちに明日はない(1967年)」という傑作映画が存在する訳だが、舞台になっているのが現代のアメリカ南部アーカンソー州ということで、女性差別の問題が正面から取り上げられているのが大きな特色。

主人公二人の年齢は30代後半くらいの設定なのだろうが、仕事を持って自立している独身のルイーズに対して専業主婦のテルマは世間知らずの甘ちゃんであり、年齢の割にかなり幼い感じ。おそらく浮気をしているであろう夫にも口答え一つすることが出来ず、悶々たる日々を過ごしている。

そんな足手まといキャラだったテルマが、レイプされそうになったり、逃走資金を持ち逃げされたりといった辛い経験を重ねていくうちに男への依存体質から抜け出し、頼もしい相棒へと成長(?)を遂げていくところが本作のミソであり、ゲス野郎の運転手の目の前で彼のタンクローリーを爆破炎上させてしまうエピソードはとても痛快。

まあ、そんなテルマ&ルイーズの二人を待ち受けている運命は、前記2作品と同様、“死”でしかない訳であるが、決死の自動車ダイブを試みようとする彼女たちの表情に一瞬だけ浮かんだ“満足感”みたいなものがせめてもの救いであり、おそらく今回の出来事でそれまで溜め込んできたフラストレーションの何分の一かは発散することが出来たのだろう。

ということで、DVDの特典映像には「もうひとつのエンディング」というのが収録されていたのだが、本編ではカットされてしまったB.B. Kingの「Better Not Look Down」が聴けるくらいで結末は一緒。まあ、あの状況からハッピーエンドに持って行くのはどう考えても不自然であり、残された我々は女性差別の撤廃に努めていくしかないのでしょう。