ダニー・ケイの牛乳屋

1946年作品
監督 ノーマン・Z.マクロード 出演 ダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ
(あらすじ)
営業成績が振るわない牛乳配達人のバーリー(ダニー・ケイ)は、人気ダンサーの妹スージーが街中で二人の酔っ払いに絡まれているのを見て思わず助けに入る。しかし、警察官を探しに行ったスージーが現場に戻ってみるとノックアウトされていたのは二人の酔っぱらいの方であり、そのうちの一人がボクシングの世界チャンピオンだったことから、バーリーは一躍世間の注目を集めることに…


ダニー・ケイの天国と地獄(1945年)」の翌年に公開されたダニー・ケイ主演のコメディ映画。

いじめられっ子だったバーリーは相手のパンチをかわすことだけは天才的に上手であり、今回の出来事も、彼がかわした酔っ払いのパンチがたまたまチャンピオンの顔面にクリーンヒットしてしまったというのが事の真相。しかし、赤っ恥をかかされたチャンピオンのマネージャーであるギャビーは、バーリーを新進気鋭のボクサーに仕立て上げ、チャンピオンとリング上で再戦させようと企んだことから、事態は予想外な方向へと展開していく。

オリジナルはハロルド・ロイドが主演した「ロイドの牛乳屋(1936年)」という作品らしいのだが、バーリーの妹スージー(ヴェラ=エレン)の職業をダンサーに変更し、恋人になるポリー(ヴァージニア・メイヨ)の方も失業中の歌手という設定にしているため、歌や踊りが盛り沢山のとても楽しい作品に仕上げられている。

特に2度にわたって華麗でアクロバチックなダンスを披露してくれるヴェラ=エレンの存在は大きく、間違いなく本作の見どころの一つになっている。昨年末に拝見したばかりの「ホワイトクリスマス(1954年)」のときに比べると顔つきや御御足が少しぽっちゃりしているようであり、うん、俺としてはこっちの彼女の方がずっと好みだなあ。

また、ダニー・ケイの作品というと、観客に対して彼の“芸”を見せることを優先しようとするあまり、作品全体のバランスを欠いてしまうという問題がしばしば見られるのだが、本作ではストーリーの流れを邪魔しないように上手く組み込まれており、比較的素直に彼お得意の早口歌唱(?)を楽しむことが出来た。

ということで、ハロルド・ロイドの影響か、単純すぎる幼稚なギャグの繰り返しが何回か登場するのが鼻に付くが、ストーリーはなかなか凝っていて面白いし、今リメイクしても十分通用する作品になるのでないでしょうか。