美女と野獣

今日は、妻&娘と一緒にディズニー映画の最新作である「美女と野獣」を見てきた。

娘が大好きな「美女と野獣(1991年)」の実写化であり、あの傑作アニメを超える作品を本当に作れるのかとても心配だったのだが、最近のディズニーには「シンデレラ(2015年)」や「ジャングルブック(2016年)」の実写化を成功させた実績があるので、ちょっぴり期待したくなる気持ちもなくはない。幸い全米での興行成績は上々のようであり、そう悲惨な結果にはならないだろうと思いながら映画館へ。

さて、ストーリーはアニメ版とほとんど同じなのだが、アニメ版の上映時間が84分なのに対して本作のそれが130分と長いのは、前者には無かったベルや野獣の幼少期のエピソードなんかが紹介されているせい。決して悪い内容ではないし、ベルが赤ん坊のときに亡くなった母親に会い行くシーンでは新曲「How Does a Moment Last Forever」をエマ・ワトソンの歌で聴くことも出来るのだが、どうしても必要なシーンかと問われれば首を傾げざるを得ないところであり、正直、作品全体の完成度の点ではアニメ版に一歩及ばなかったと思う。

しかし、それを補って余りあるのが本作の映像の美しさであり、同じようなシーンを描いていてもアニメと実写(+CG)とではその情報量=豪華さに格段の違いがある。モブシーンにおける俳優一人一人の表情の豊かさはやはり実写には敵わないし、野獣の住むお城の装飾なんかも見応え十分。特に図書室に収められた大量の蔵書を描いたシーンの説得力は素晴らしく、思わず魅了されてしまったベルの気持ちが良く理解できた。

また、ちょっと心配だった出演者の歌唱力も問題は無く、エマ・ワトソンの素直な歌声にはとても好感が持てる。新曲「Evermore」を切々と歌い上げたダン・スティーヴンスの歌唱力も見事だったが、それ以上に驚かされたのはポット夫人役のエマ・トンプソンであり、名曲「Beauty and the Beast」をしっとりと歌い上げてくれていた。

ということで、スピーディーで小回りの利いたアニメ版に対し、圧倒的な物量作戦で対抗を試みた本作の挑戦はかなりの部分で功を奏しており、今後「美女と野獣」を見ようと思ったらこっちの方に手が伸びてしまうかもしれないなあ。ただし、唯一「Be Our Guest」のシーンが意外に平凡だったのはとても残念であり、まあ、このへんがビル・コンドンの限界なのかもしれません。