ダニー・ケイの新兵さん

1944年作品
監督 エリオット・ニュージェント 出演 ダニー・ケイ、ダイナ・ショア
(あらすじ)
医療ビルのエレベーター係として働いているダニー(ダニー・ケイ)は、自分が色々な病気に罹っていると思い込んでいる心配性の青年だが、徴兵委員会の目を誤魔化すことは出来ず、親友のジョーと一緒に海軍へ入隊することになってしまう。そんなところへ、ダニーが思いを寄せるメリーとその友人であるヴァージニア(ダイナ・ショア)が従軍看護師として配属されてくることになり…


ダニー・ケイの本格的な映画デビュー作品。

登場人物の恋愛感情を示すとヴァージニア→ダニー→メリー→ジョーということになるのだが、ジョーも(親友のダニーに気兼ねしつつも)メリーのことを憎からず思っているらしいということで、“想う人には想われず…”のダニー君は完全なお邪魔虫。そんな彼のドタバタぶりを中心にしてストーリーは展開する。

終盤には、ダニー君の所属する部隊が太平洋上のある島に上陸し、彼の機転(?)によって大勢の日本兵を捕虜にするというエピソードが登場するのだが、そこに出てくる日本兵の珍妙さ、マヌケさは悲惨と言って良いレベル。しかし、第二次世界対戦中に製作されたことを考えれば、まあ、腹も立たない。

一方、本作でいきなり主役に抜擢されたダニー・ケイは、公開当時31歳ということもあって既になかなかの貫禄。ボードビリアンとして舞台で磨き上げてきた芸をいろいろ披露してくれるのだが、どれもこれも完成の域に達しており、後年の作品と比べても全く見劣りするところは無い。タモリハナモゲラ語なんかもこのへんが原点なんだろうなあ。

また、共演のダイナ・ショアがその素敵な歌声を数曲披露してくれているのも有り難い限りであり、同時に嫌みの無いスマートなコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮している。最大の不満はダニー・ケイと歌で絡む場面が一シーンしか無いところであるが、このシーンがとても素晴らしいので、まあ、仕方ないか。

ということで、見終わってから知ったのだが、本作には後日ダニー・ケイの重要なパートナーになるヴァージニア・メイヨが端役として出演しているとのこと。まあ、色っぽさからいえば圧倒的にヴァージニア・メイヨに軍配が上がるのだろうが、正直、ダイナ・ショアとの共演作ももっと見てみたかったような気がします。