艦長ホレーショ

1951年作品
監督 ラオール・ウォルシュ 出演 グレゴリー・ペック、ヴァージニア・メイヨ
(あらすじ)
1807年、ホレーショ・ホーンブロワーグレゴリー・ペック)が艦長を務めるイギリス戦艦リディア号は、敵国スペインにおける内乱誘発のため、反逆者エル・スプレモのもとに大量の武器を搬送する任務を命ぜられる。その際、エル・スプレモの要塞を攻撃するためにやってきたスペインの大型軍艦ナティビダッド号と遭遇するが、ホーンブロワー艦長の見事な作戦によって敵艦を傷つけることなく降伏させることに成功する….


英国の小説家セシル・スコット・フォレスターが書いた有名な海洋冒険小説ラオール・ウォルシュが映画化した作品。

ホーンブロワーは、無傷のまま手に入れたナティビダッド号をエル・スプレモに与えるんだけど、その数日後、英国とスペインとは実は1ケ月も前に和平を結んでいたという知らせを受ける。まあ、現在のように通信手段が発達していなかった時代には良くあったことなんだろうが、その結果、ホーンブロワーとエル・スプレモとは敵同士ということになってしまう。

そして、この後、リディア号とナティビダッド号による海戦の様子が描かれるんだけど、これがなかなかの迫力で見応え十分。当然、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの様な派手なCGは出てこないものの、敵弾を受けた大砲がひっくり返ったり、折れたマストの破片が船員達を直撃する等、俺が今までに見た海戦シーンの中では最も迫真の映像だった。

見る前は、グレゴリー・ペックが“海の男”を演じるというのでちょっと心配だったが、始まって間もなく、ホーンブロワー艦長が(例によって?)とても誠実なキャラだということが分かり、ほっと一安心。小説の方を読んでいないんで、これが原作のイメージどおりなのかどうかは判らないけど、こういう役なら彼に任せておいて何の問題もない。

ということで、妻帯者のホーンブロワーと婚約者のいるバーバラ姫(ヴァージニア・メイヨ)との間に芽生えた恋が、お互いのパートナーの都合の良い死によって何の苦労もなく成就する等、「死の谷(1949年)」なんかに比べると相当大味な作品であるが、その分、スケールの大きい海洋冒険活劇をゆったりと楽しむことができるので、まあ、それも仕方がないところでしょう。