フランス史10講

東大名誉教授の柴田三千雄(故人)という人が書いたフランスの歴史書

本当は、「レ・ミゼラブル」の歴史的背景を知りたくて、フランス革命から1848年の二月革命くらいまでの歴史に関する解説書を物色していたのだが、なかなか適当なものが見当たらず、それまでの軽い“つなぎ”として本書を購入。そういえば、岩波新書を購入するのは随分久しぶりのことだなあ。

さて、ローマ人から“ガリア”と呼ばれていた時代からつい最近のシラク大統領の時代までを230ページ程度の書物にまとめているのだから、内容はかなりコンパクト。“歴史物” に血肉を与えるような興味深いエピソードの紹介はかなり控えめだが、単なる事実の羅列にならないよう要所要所に的確なコメントが付されているため、そこをきちんと押さえておけばフランス史の概要を比較的短時間で理解できるようになっている。

お目当てだったフランス革命から二月革命までの解説には第6講と第7講の二章が割かれており、それぞれの革命の成功(?)要因として“民衆”の存在が重要視されているのが興味深い。まあ、マルクスに揶揄されたとおり、いずれの場合も最後は“帝政”という非民主的な制度へと行き着いてしまうのだが、これらの成功(?)体験が国民に対して“国や政治は自分たちの手で変えることが出来る”という意識を植え付けたことだけは間違いないだろう。

ということで、本書のあとがきで紹介されていたミネルヴァ書房の「近代フランスの歴史」については既に注文済みであり、読んでみるのがとても楽しみ。一方、ニューイヤー・ミュージカル・コンサートで興味を持ったユーゴーの「ノートルダム・ド・パリ」については、単行本が高価なのでちょっと購入に躊躇っています。