パディントン

今日は、妻と一緒に「パディントン」を見に行ってきた。

いつものことではあるが、“文化果つる街”宇都宮市ではデル・トロ監督の「クリムゾン・ピーク」の上映は無いので、我々に残された選択肢はスピルバーグの「ブリッジ・オブ・スパイ」にするか、グランサム伯爵(?)の「パディントン」にするかの2つだけ。まあ、普通なら前者になるのだろうが、今日は午後にヤボ用が入っているため、上映時間の短いことが決め手になって後者を選択。

さて、奇妙な闖入者によって離ればなれになりつつあった家族の心が一つになるというテーマに新鮮味は感じられず、ニコール・キッドマン扮する悪女ミリセントの活躍する後半は「101匹わんちゃん」の焼き直しみたいなのだが、プーさん同様、英国生まれだとばかり思っていたパディントンが、実は“暗黒の地ペルー”からの移民(?)であったというのが本作の意外なミソ。

原作となった童話が発表された1958年当時のことは分らないが、難民問題が世界的な話題になっているこの時期に本作が公開された意義は決して小さくはなく、小さな子どもから大人にまで、移民・難民排斥運動の愚かしさをやさしく教えてくれている。難民問題を対岸の火事としてしか考えていない何処かの首相にも、是非見て頂きたいものである。

また、そのこととも無関係ではないのだろうが、本作に溢れている“ロンドン愛”というか、ロンドンという街に対する自信や誇りみたいなものが見ていてちょっと羨ましい。同じ感覚はニューヨークにも感じることが出来るが、東京にもあるかというと、正直、首を傾げざるを得ないところであり、まあ、そのあたりが国際都市としての格の違いなんだろう。

ということで、朝一での上映は日本語吹替え版しかなかったので、やむを得ずそちらを拝見させて頂いたのだが、幸い大きな違和感を覚えることもなく無事鑑賞。吹替え版のエンド・クレジットによると、パディントンの声を担当していたのは俺でも名前を知っている若手の人気俳優だったのだが、その奇を衒わない素直な声優ぶりにはむしろ好感が持てました。