今日は、妻と一緒に「百日紅 〜Miss HOKUSAI〜」を見に行ってきた。
昨日はもっぱら俺の趣味で「セッション(2014年)」に付き合ってもらったので、今日はそのお礼として妻の好みに合いそうな作品を選択。江戸時代が舞台ということで、一瞬、“江戸しぐさみたいに過去の日本を過度に美化するようなブームに乗った作品?”という懸念を抱いたが、まあ、監督が原恵一だからそういった心配は無用だろう。
さて、内容は葛飾北斎の娘であるお栄を主人公にした比較的短いエピソードをいくつか繋げたものであり、ちょっぴり怪奇っぽい要素を含んでいるところがミソなのかなあ。杉浦日向子という人の描いた連作短編漫画が原作らしく、その中からいくつかのエピソードを取り上げて映画化しているので、オムニバス映画を見ているような印象を受ける。
お栄の病弱で盲目の妹お猶の登場するエピソードを比較的多めに取り上げることにより、全体のストーリーに一貫性を持たせようとしているらしいのだが、残念ながら各エピソード間の繋がりが平板なため、終盤に向けてのストーリーの盛り上がりといったようなものはほとんど感じられない。
川での船遊びのシーンがみるみるうちに「神奈川沖浪裏」の絵へと変化していく等、アニメならではの面白い演出はいくつか見られるのだが、上映時間が90分と短いこともあって相当物足りないというのが正直な感想。連作短編を長編アニメ化するときには、原作をもっと大胆に改編する必要があったのでは無いだろうか。
ということで、原恵一には申し訳ないが、この作品の素晴らしさは、アニメ映画を見るよりも杉浦日向子の原作を読んだ方がよりストレートに伝わってくるような気がする。文庫化されているようなので、機会があれば一度読んでみたいと思います。