アンダー・ザ・スキン 種の捕食

2013年作品
監督 ジョナサン・グレイザー 出演 スカーレット・ヨハンソン、ポール・ブラニガン
(あらすじ)
スコットランドの街中を白いバンに乗ってさまよう謎の美女(スカーレット・ヨハンソン)。彼女は、通りすがりの孤独そうな男達を見つけては道を尋ねるフリをして次々に声を掛けていくが、その誘いに応じて車に乗り込んでしまった男はそのまま彼女の自宅(?)まで連れて行かれ、そこで底なし沼のような不思議な場所に誘い込まれて皮一枚だけを残して溶かされてしまう….


最近、SFチックな作品への出演が相次いでいるスカーレット・ヨハンソンの主演作。

先日の「her/世界でひとつの彼女(2013年)」では、声だけで彼女の美貌を拝むことが出来なかったことから別の作品を物色してみたのだが、最近のリュック・ベッソンはちょっと苦手なために「LUCY/ルーシー(2014年)」は却下。ほとんど事前情報の無い本作を見てみることにした次第。

さて、そんな訳でほとんどセリフらしいセリフのない導入部を見ただけで少々困惑してしまったのだが、結局、その意図的な“説明不足”の状態は最後まで変わることはない。まあ、“種の捕食”というサブタイトルのおかげで、ヒロインは人類とは別種の存在であり、ああやって人間を溶かすことによって何らかのエネルギー(?)を得ているらしいことは理解できるのだが、彼女が何処から来たのか、人間の何がエネルギー源になるのか等々の疑問は山積みのままほとんど解消されない。

第一、人間を捕獲するために一人一人色仕掛けによって自宅に引っ張り込むという方法はあまりに非効率的であり、それを採用せざるを得なかった彼等なりの事情を説明してくれなければSFにならないのだが、まあ、脚本にも参加しているジョナサン・グレイザーという監督さんは映像というか、作品全体の雰囲気づくりの方を重視しているようであり、ストーリーは二の次といった印象。

原作も邦訳されているようなので、詳しく知りたければそちらを読むという方法も考えられるのだが、本作自体、あまり興味を惹きつけられるような作品ではなかったので、おそらくその機会が訪れることは無いだろう。

ということで、自分の世界では異性から言い寄られるような経験の無かったヒロインの“中の人”が、人間の皮を被ることによって美しい美しいと周囲からチヤホヤされることの快感に目覚めてしまい、それを失いたく無いがために仲間を裏切ってしまった、というのが俺の読み取ったストーリーなのだが、果たしてそんな解釈で良かったのでしょうか。