グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

今日は、妻と一緒に「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」を見に行ってきた。

現在上映中の作品の中では、ご贔屓のクロエ・グレース・モレッツが出ている「イコライザー(2014年)」の方により興味があったのだが、妻に喜んでもらえるか自信が持てなかったため、無難なところをということで本作を選択。ニコール・キッドマンも決して嫌いじゃ無いしね。

さて、そんな彼女がグレース・ケリーを演じるということで、「英国王のスピーチ(2010年)」の二匹目のドジョウといった、少々あざとい雰囲気が漂ってしまう企画であるが、そこはニコール・キッドマン、実際に見てみると、唯々彼女の美しさを愛でるためだけの映画に仕上がっていた。

ストーリーの方はかなり底が浅く、モナコ公国に忍び寄る隣国フランスの脅威をグレース公妃の感動的なスピーチで切り抜けるといった内容。まあ、一新聞の“誤報”が国際世論を誤った方向に導いてしまったという与太話を信じ込むような間抜けならともかく、正常な判断力を有する人間にとっては極めて説得力に乏しい筋立てであり、モナコ公室が腹を立てたというのも無理はない。

ハリウッドからの映画「マーニー」への出演依頼といったエピソードも大きく取り上げられるのだが、結局、これが本筋への伏線になるような工夫は見られず、個々のエピソードはバラバラのまんま。フランス語の発音を猛練習するシーンを散々見せておきながら、クライマックスのスピーチは英語で行われるという展開には、正直、呆れてしまった。

ということで、ストーリーや映像美に深みは見られず、ニコール・キッドマンはあくまでニコール・キッドマンのままなのだが、結局、それがこの作品の見どころであり、様々な衣装を身に纏った彼女の美しい姿を眺めていれば良い。ヴィスコンティ作品の映像美には遠く及ばないものの、本作の軽快で明るい映像は彼女の分かり易い魅力を現すのにピッタリでした。