まほろ駅前多田便利軒

2011年作品
監督 大森立嗣 出演 瑛太松田龍平
(あらすじ)
多田啓介(瑛太)は、東京の郊外にあるまほろ駅前で便利屋を営むバツイチの青年。ある日の夜、中学時代の同級生である行天春彦(松田龍平)と偶然に再会し、言われるまま一夜の宿を提供したのが運の尽き。結局、そのまま居座られることになってしまい、飼い主が夜逃げしたチワワのもらい手探しや、生意気な小学生の塾の送迎といった雑多な依頼を二人してこなしていくことに….


これも娘がレンタルしたDVDの中にあった作品であり、妻を誘って一緒に鑑賞。

直木賞を受賞した連作短編小説の映画化であり、おそらくハリウッド映画なら私立探偵事務所が物語の舞台になっていたところだろう。まあ、我が国にも「探偵はBARにいる(2011年)」という私立探偵物の名作(?)が存在するが、あちらはハードボイルド物のパロディというコメディ・ベースの作品だから許容された訳であり、あくまでもマジメなヒューマンドラマを指向する本作には便利屋の方が似合っていたのかもしれない。

さて、ストーリーはかなり淡泊であり、麻薬や売春の他、ストーカーがらみの傷害事件まで発生するものの、結局、いずれも“大事件”にまで発展するようなことはなく、深刻そうな表情で何度か登場する二人の刑事はまるでバカみたい。瑛太松田龍平もそれなりにアクションをこなすのだろうが、そっち方面での見せ場はほとんどなかった。

テーマは“親子の愛情”のようであり、いろいろな境遇の親子が登場して自分たちが置かれた境遇に一喜一憂する訳であるが、正直、目新しい問題提起のようなものは見当たらず、いずれもあまり心に残るようなエピソードにはなっていない。まあ、ストーリーより、雰囲気を楽しむといった類いの作品なのかもしれないなあ。

確かに、瑛太松田龍平という二人の若手俳優は男の俺から見ても格好良く、まあ、役柄のせいでちょっぴり薄汚い格好はしているのだが、それが不潔なイメージに繋がらないあたりは大したもの。おそらく、彼等のファンの方々にとってみれば、あまり複雑なストーリーで頭を悩ますのはむしろ迷惑なんだろう。

ということで、一緒に見ていた妻の話によると、先日、母娘で映画館に行ったときに本作の続編の予告を見たそうであり、娘がこのDVDをレンタルしたのもどうやらそれがきっかけらしい。調べてみると、確かに「まほろ駅前狂騒曲(2014年)」なる作品が近日公開予定であり、妻からの強い要請があれば映画館へ見に行くことになるのかもしれません。