ディパーテッド

2004年作品
監督 マーティン・スコセッシ 出演 レオナルド・ディカプリオマット・デイモン
(あらすじ)
マサチューセッツ州ボストン。マフィアのボスであるコステロに子どもの頃から目をかけられてきたサリバン(マット・デイモン)は、優秀な成績で警察学校を卒業し、コステロのスパイとして警察に勤めることになる。一方、純粋な気持ちで警察官を志したビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、身内に犯罪者が多いことに目を付けられ、コステロの組織への潜入捜査を命じられる….


香港映画の「インファナル・アフェア(2002年)」のリメイク作品。

要するに、警察とマフィアとのスパイ合戦の様子を描いた作品なのだが、007シリーズやスパイ大作戦に出てくるようなスマートなスパイとは大違いで、かなり泥臭い。特に、マフィアに潜入したビリーの場合、正体がバレたとしても上手く司法取引に応じれば重罪を免れられる可能性もあるサリバンとは異なり、常に死と隣り合わせということで、日々の精神的なストレスは甚大。

実際、上司に弱音を吐いたり、女性心理カウンセラーの元に足繁く通ったするシーンが再三スクリーン上に映し出されるのだが、不思議なことにこのビリーの恐怖心や焦燥感といったものが感覚として観客に伝わってこない。そのため、ストーリーとしては理解出来ても、サスペンスの方は一向に盛り上がりを見せず、消化不良のまま終わってしまう、っていう感じかなあ。

まあ、その原因の一つはコステロを演じたジャック・ニコルソンのキャラクター設定の問題であり、申し訳ないが見ていてあまり怖さを感じない。名優としては、単なるギャングのボスに止まらない複雑な精神の持ち主を演じたかったのかもしれないが、ここはもっとストレートで分かり易い悪役に徹して欲しかった。

また、この作品で念願のアカデミー監督賞を手に入れたマーティン・スコセッシには、遅まきながら心からお祝いを申し上げたいと思うが、正直、ギャングものであれば「グッドフェローズ(1990年)」の方がずっと良く出来ていると思った。

ということで、音楽の趣味の良さに関して言えば、先日拝見した「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年)」のジェームズ・ガンを大きく上回っており、オープニングに使用された名曲「ギミーシェルター」のイントロはとても効果的。ちなみに、ビリーがカウンセラーに送ったCDには「Exile on Main St.」のケースが使用されておりました。