LOOPER/ルーパー

2012 年作品
監督 ライアン・ジョンソン 出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィットブルース・ウィリス
(あらすじ)
2044年カンザス。“ルーパー”の一員であるジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の仕事は、タイムトラベルが可能になった30年後の未来から送られてくる人間を射殺すること。2074年の世界では当局にバレないように殺人を犯すことが不可能になっているため、犯罪組織では殺したい人間を過去に送り込んでくるのだ。そんなある日、ジョーの目の前に標的として現われたのは30年後の自分自身だった....


一部(?)で高い評価を得ているらしいSFアクション映画。

実際のルーパーの仕事ぶりは実に単純であり、荒野の真ん中に突如現れてくる人間(=逃げられないように厳重に縛られた上、覆面をされている。)に向かって、ズドンと一発銃をぶっ放すだけ。

SF映画らしい斬新なアイデアを期待していたところに見せられたのが冒頭のこのシーンということで、俺の心の中では早くもこの時点でB級決定! だいたい、2m四方の決まった場所にきちんと人間を送り込むだけの技術があるのなら、最初から太平洋のド真ん中とか宇宙空間に送り込んでしまえば、人手をかけずに目的を達することが出来るじゃないか。

まあ、そんな訳で、逃亡中の男の指や鼻等がだんだん消え失せていくとか、主人公が30年後の自分に向かって銃をぶっ放す場面が2度繰り返されるとかいった意味不明なシーンが登場してもあまり深く考えることはせず、“どうせB級だから”というかなり投げやりな態度で鑑賞終了。

実は、その後、ネット上に町山智浩氏によるネタバレ解説があることを知り、それを読んで前記の意味不明なシーンにもちゃんと理由があることを知るのだが、正直、後の祭りであり、もう一度見直すような気力は湧いてこない。おそらく、その最大の理由は、タイムトラベル物の醍醐味であるはずのタイムパラドックスに関する話題を強引に遠ざけてしまっていることに代表される本作の“志の低さ”にあるものと思われる。

ということで、ストーリーの都合上、ルーパー達の使うラッパ銃の性能を合理的な理由も無しに劣化させているところも気に入らないのだが、それを認めたとしてもラストで撃つべきなのは自分の心臓ではなく、右手の人差し指だけで十分だった筈。失礼を承知で言わせてもらえれば、本作を気に入った人はあまり熱心なSFファンではないような気がします。