(500)日のサマー

2009年作品
監督 マーク・ウェブ 出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィットゾーイ・デシャネル
(あらすじ)
グリーティングカードの出版社に勤めるトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、まだ見ぬ恋人との運命的な出会いを信じるナイーヴな青年。ある日、新人アシスタントとして入社して来たサマー(ゾーイ・デシャネル)を一目見るなり、彼女こそが運命の人だと確信するが、運良く友人になることが出来た彼女は、“愛なんて信じないし、誰の所有物にもなりたくない”という考えの持ち主だった....


公開当時、ちょっと変わった演出が話題になったラブコメ作品。

トムとサマーが最初に出会った日から500日間の様子を描いているのだが、ストーリーはこの500日間を時系列的にではなく、488日目の次に1日目といった具合に時間軸を前後しながら展開していく。どうやら290日目にトムはサマーから別れ話を切り出されるらしいのだが、彼らの恋が500日目にどうなっているのかは最後まで予断を許さない。

監督のマーク・ウェブという人は、これが劇場長編デビュー作になるらしく、この日にちを前後させるという工夫以外にも様々な演出上のアイデアを本作に詰め込んでいる。その全部が成功しているとは言い難く、中には他の作品の二番煎じみたいなものも含まれているのだが、まあ、そこは若気の至りということで十分に許容できるレベル。

というか、見終わってから考えてみれば、結局、最後まで特に変わったエピソードが出てくる訳でもなく、時系列的に並び替えたストーリーはいたって他愛の無い恋愛話に過ぎないということで、多分、この凝りに凝った演出が無かったらそもそも一本の作品として成立しなかったんだろうと思う。

なお、冒頭で、本作の登場人物のモデルとされる実在の女性(?)をbitchと非難する“原作者のメモ”が紹介されるのだが、彼女がモデルになっている登場人物が誰なのかは教えてもらえない。俺は、トムの恋愛の相談相手となる生意気そうな女の子だろうと思って見ていたのだが、結果は大ハズレ。しかし、同じ男として原作者の気持ちは良〜く理解できる。

ということで、ラストのオチもなかなか見事に決まっており、思わずニヤリとしてしまう。まあ、季節の始まりは春ということで、最初、トム君の恋愛にもあと2度ほど波乱が訪れるのかと思ってしまったが、あちらでは新学期は秋に始まるということから考えると、結局、あれがハッピーエンドだったと考えて良いのでしょう。