踊るアメリカ艦隊

1936年作品
監督 ロイ・デル・ルース 出演 エリノア・パウエル、ジェームズ・スチュワート
(あらすじ)
ミュージカルスターを夢見てニューヨークに出てきたノーラ(エリノア・パウエル)はクラブの受付嬢ジェニーと知り合い、彼女のアパートに同居させてもらうことになる。その頃、ジェニーの夫ガニーやテッド(ジェームズ・スチュアート)等を乗せた海軍の潜水艦が久しぶりにニューヨークに帰港。ガニーに連れられてジェニーの働くクラブを訪れたテッドは、そこで出会ったノーラに一目惚れ….


ザッツ・エンタテインメント(1974年)」にも取り上げられていたエリノア・パウエル主演のミュージカル映画

ノーラもテッドに好意を抱いたようであり、二人は夜のセントラルパークでデートするくらいの仲になるのだが、ミュージカルスターであるルーシー(ヴァージニア・ブルース。美人!)の新しい舞台の宣伝にするため、悪賢い興行主が彼女とテッドとのスキャンダルをデッチ上げようとしたことから、次第に雲行きが怪しくなっていく。

最終的には、テッドの計略に引っかかってルーシーは舞台を降りてしまい、彼女の代役として舞台の主役を務めたノーラが観客の大喝采を浴びるというハッピーエンドなのだが、途中からテッドのことを本気で好きになってしまうルーシーを悪女扱いするのは無理があり、そんな彼女の気持ちを利用して舞台を降板させるという展開は、まあ、あまり後味の良いものとは言えない。

しかし、本作においてそんなストーリーは完全に二の次であり、“タップの女王”と呼ばれたエリノア・パウエルの華麗なダンスが見られれば、もうそれだけで不満はない。正直、彼女のあまり上品とはいえない体育会系のタップダンスはあまり俺の趣味ではないのだが、そんな彼女の持ち味を最大限に生かしたラストのダンスシーンは圧巻であり、そこで彼女が見せる高速ターンは今見ても一級品。

また、若き日のジェームズ・スチュワートが歌ったり踊ったりするのをじっくり見られたり、“Easy to Love”や“I've Got You Under My Skin”といったコール・ポーターの名曲を初期のアレンジで聴けたりするのも本作の大きな財産であり、まあ、今となってはかなり貴重な作品といえるだろう。

ということで、本作にはもう一つ、様々な有名人のものまねを見られるという特典がある筈なのだが、残念ながらアステア&ロジャース以外は良く分からない。公園の警官が熱演するのはストコフスキーのような気がするが、電話交換の女性がものまねしているのは一体誰なのでしょうか。