リンカーン

今日は、妻と一緒にスピルバーグ監督の「リンカーン」を見に行ってきた。

昨年の「戦火の馬(2011年)」に引き続き、アカデミー賞の作品賞にノミネートされた作品であり、南北戦争が舞台ということで、前作以上の“大作”を期待して映画館に赴いたのだが、実際は意外に地味〜な作品であり、南北戦争の戦闘シーンもほんの少ししか登場しなかった。

それに代わって描かれているのは、奴隷制度を廃止するための憲法改正案を何としても議会で成立させようとするリンカーンの執念なのだが、「南北戦争における北軍の勝利=奴隷制度の廃止」だと単純に考えていた俺にとってはなかなか興味深い話。当時としては、奴隷制度廃止というのは相当革新的な政策だったんだろうなあ。

下院において必要な2/3以上の賛成票を確保するため、リンカーンは買収まがいの多数派工作を仕掛けたり、嘘をついたりするのだが、それが出来たのも彼が奴隷制度の廃止が正義であることを確信していたからであり、現在の左翼勢力に欠けているのは、この確信なんだろうなあと思いながら見ていた。

ということで、まあ、左翼勢力を弁護する訳ではないが、マスコミの発達した現代において、本作でリンカーンが採用したような方法を真似することはまず不可能。しかし、少数意見を圧殺し続けているだけでは、テロのような不幸な出来事を防止することは出来ず、何とも困った時代になってしまったものです。