フォロー・ミー

1972年作品
監督 キャロル・リード 出演 ミア・ファロー、トポル
(あらすじ)
外出の多い妻ベリンダ(ミア・ファロー)の行動に浮気の疑念を抱いた会計士のチャールズは、探偵事務所に妻の素行調査を依頼する。調査に当たった探偵のクリストフォルー(トポル)は、チャールズに対し、毎日のようにロンドンの街中を一人で歩き回るベリンダの奇妙な行動を報告するが、その最後に、彼女が最近ある外交官風の男性に興味を抱いているらしいことを告げる….


亡くなる4年前に公開された名匠キャロル・リードの遺作を妻と一緒に鑑賞。

学生の頃に名画座かなんかで見たことのある作品であり、長らくビデオ・DVD化されなかったことから、数十年ぶりの再見となった訳であるが、所々、記憶から抜け落ちているシーンはあるものの、全体としては初めて見たときのロマンチックな感動を再び味あわせてもらうことが出来た。

まあ、イギリスの上流階級の出身であるチャールズと、カリフォルニア生まれの元ヒッピー娘であるベリンダとでは、その価値観に大きな差があることは当然であり、そのどちらが正しいのかというのではなく、その違いをどのようにして乗り越えるかということが問題になる。

そして、その解決策として本作のラストでクリストフォルーが提案した方法はなかなかの名案であり、相手が興味を示すものを一度黙って受け入れることにより、お互いの価値観の差をスムーズに認め合うことが出来そう。このような場合、言葉による話し合いではかえって問題を複雑化させるだけのように思われる。

主演のミア・ファローは公開当時27歳であり、他愛の無いものに喜びを見出すその不思議ちゃんぶりはちょっと感動的。改めて調べてみたところ、実生活ではフランク・シナトラアンドレ・プレヴィンウディ・アレン(=結婚はしなかったらしい。)と、その人生のパートナーも大物ぞろいであり、彼女とトポル、そしてジョン・バリーの名曲のうち、どれか一つが欠けても本作のファンタジックなイメージは描き出せなかったことだろう。

ということで、本作の最大の見所は、ベリンダとクリストフォルーの二人による素敵な街中散歩の情景であり、昨年訪れたばかりのロンドンの雰囲気を思い出しながらとても楽しく拝見することが出来ました。