ノッティングヒルの恋人

1999年作品
監督 ロジャー・ミッシェル 出演 ジュリア・ロバーツヒュー・グラント
(あらすじ)
ロンドン西部のノッティングヒルバツイチの独身男ウィリアム(ヒュー・グラント)が経営する旅行書専門の小さな本屋に、ある日、ハリウッドスターのアナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)がお客として立ち寄る。ひとときの、しかし夢のような出会いに心浮き立つウィリアムであったが、その直後、飲み物を買いに出掛けた彼は、偶然、街中でぶつかったアナの服に持っていたオレンジジュースをぶちまけてしまう….


夏の英国旅行を前に、ロンドンを舞台にした作品を妻と一緒に鑑賞。

ハリウッドの大女優としがない本屋の店主との夢のような恋物語ということで、まあ、「ローマの休日(1953年)」の焼き直しみたいなロマンチックなラブコメ作品なのだが、あちらのヒロインが超箱入り娘の王女様だったのに対し、こっちは恋愛経験も豊富な女優さんという設定の故、随分とカジュアルな内容のお話になっている。

本物のハリウッドスターの私生活がどういうものなのかは知らないが、アナはプライベートでは変装もせずにいつも一人で行動しているようであり、ウィリアムと会うときもあまり周囲の目は気にしない。そのせいで二人のデートシーンなんかはとても自然な感じに描かれているのだが、反面、本作の非日常的な設定が上手く活かされていなかったような気もする。

ラストは、「ローマの休日」に対するアンチテーゼ(?)のような結末になっており、まあ、本家の方の“せつなさ”を採るのか、本作の“楽しさ”を選ぶのか、結構微妙なところだと思うが、個人的には本作の能天気なハッピーエンドも決して嫌いではなかった。

また、本作のもう一つの大きな魅力になっているのが、ウィリアムの友人として大挙登場する変人たちの活躍であり、彼等のちょっと病んだようなユニークなキャラクターはロンドンならではっていう感じ。特に、ウィリアムの同居人であるスパイクのキャラクターは最高であり、あのような人物との同居を厭わないウィリアム自身も案外相当の変人なのかもしれない。

ということで、主演のジュリア・ロバーツはこの手の作品にはあまり向いていないような気もするが、一応、見て損のない作品には仕上がっていると思う。なお、「ローマの休日」とは異なり、ロンドンの有名観光地はほとんど出てこないので、俺と同じ動機で本作の鑑賞を考えている方は注意が必要です。