クッキー・フォーチュン

1999年作品
監督 ロバート・アルトマン 出演 グレン・クローズジュリアン・ムーア
(あらすじ)
アメリカ南部の小さな田舎町。夫に先立たれた老女クッキーの生活を気遣ってくれるのは、同じ敷地内に住んでいる黒人のウィリスただ一人。ある日、孤独に耐えかねたクッキーがピストル自殺を図るが、最初に彼女の死体を発見した姪のカミール(グレン・クローズ)は“自殺するなんて家の恥”とばかりに、妹のコーラ(ジュリアン・ムーア)に命じて強盗殺人事件を装うことにしたのだが….


ここのところハマっているロバート・アルトマン監督のコメディ映画。

例によって語り口は散文調なのだが、登場人物は比較的限られており、アルトマンお得意の群像劇という程ではない。主要な登場人物として、もう一人、コーラの娘であるエマ(リヴ・タイラー)が出てくるが、彼女とウィリスが善人で、カミールとコーラが悪人というように、初めから善悪がハッキリしているのもアルトマン作品としてはちょっと珍しい。

ストーリーも勧善懲悪ものと言って良いくらいであり、最後にはTVの2時間ドラマみたいなオチまでちゃんと用意されている。いつもカミールの忠実な僕として彼女に逆らうことなく仕えてきたコーラではあるが、実は相当な不満やストレスを抱えながら生きてきたんだ、っていうことが良〜く理解できた。

主演のグレン・クローズは、ディズニー映画の「101(1996年)」であのクルエラ・デ・ビルを怪演していた女優さんであり、まあ、こういったコミカルな悪女役はお手の物なんだろう。相手役のジュリアン・ムーアは、途中まであまり目立たないのだが、稀代の悪女“サロメ”の衣装を身に付けるなり、どんどんとその存在感を増していくあたりは流石という他ない。

また、エマ役のリヴ・タイラーは、珍しくボーイッシュなショートカットのヘアスタイルで登場している。最初は誰だか分からなかったくらいなのだが、この髪型は、エマの役柄に合っているからというだけでなく、なかなか魅力的でもあり、他の作品でもこんなお姿を披露していただきたいものである。

ということで、ストーリーは単純であり、顔と名前が覚えきれないということもないため、初めてロバート・アルトマンの作品を見る人にとっても比較的とっつき易い作品。もちろん、内容的にもなかなか面白い作品でした。