ジャックポット

1974年作品
監督 ロバート・アルトマン 出演 ジョージ・シーガルエリオット・グールド
(あらすじ)
町のポーカークラブを訪れたギャンブラーのチャーリー(エリオット・グールド)は、他の客から、同じテーブルのビル(ジョージ・シーガル)とグルだと因縁をつけられる。彼等はたまたま同じテーブルになっただけの他人同士であったが、その後、再び別のバーで一緒になったことから意気投合。そんなところを、先ほど因縁をつけてきた男に見つかってしまい、二人はボコボコにされてしまう….


ロバート・アルトマンが「ナッシュビル(1975年)」の前年に公開した作品。

チャーリーは正業を持たない生粋のギャンブラーであるのに対し、ビルの方は小さな出版社に勤めている普通のサラリーマン。しかし、チャーリーという格好の相棒が出来たことから生来のギャンブル好きが一気に暴走を始め、終いには借金で首が回らなくなってしまうというストーリー。

外見も対照的で、ただでさえ個性的なエリオット・グールドが演じているチャーリーに対し、ビルの方は相当に地味〜な印象であり、そこそこハンサムではあるものの、二人が初めて出会うポーカークラブのシーンでは、ずっと彼のことを単なる脇役だと思っていた。その後、放浪癖のあるチャーリーが突然姿を消してしまい、ここにきてようやく本作の真の主役はビルの方だってことに気付く始末。

まあ、本作のキーワードはおそらく“偶然”であり、ストーリーの方も相当に行き当たりばったりの内容なのだが、正直、ギャンブルとは縁遠い俺にとっては付いていけないところが少なくない。最後は、カジノで勝ち続けたことにより“何も感じなくなった”ビルが、チャーリーを残して一人で去って行くところで終わるのだが、こういうのがギャンブラーの感覚なのだろうか。

アルトマンは、この時期、「ロング・グッドバイ(1973年)」、「ボウイ&キーチ(1974年)※未見」そして「ナッシュビル」と名作を連発しているのだが、そんな中で、唯一本作だけが本邦未公開となっており、公開当時もあまり高い評価は得られなかったようである。

ということで、個人的な好みからいっても、これまで見てきた過去のアルトマン作品の中では、間違いなく本作が最低の出来。さすがの彼も、この後の大作「ナッシュビル」の準備に忙殺され、十分な時間が取れなかったのかもしれません。