フロム・ヘル

ロンドン旅行記念(?)の第二弾は、アラン・ムーア原作のグラフィックノベル

要するに“切り裂きジャック”の話なのだが、1888年に発生したこの未解決猟奇連続殺人事件の“真相”に関しては、現在に至るまで数多くの仮説が提示されており、その主要な関係者の数だけでもバカにならない程の人数になっているらしい。

したがって、事件の登場人物に関する予備知識がほとんど無い俺にとっては、開始早々、一体何の話なのか皆目見当がつかないという状況がしばらく続くのだが、ヴィクトリア女王の登場によって事件の全体像がおぼろげに見えてくる頃から俄然面白さが増していき、それ以降は最後まで一気に読み通してしまった。

以前読んだ「Watchmen」に比べると随分とマンガっぽくなっており、文字数も比較的少なくて読み易いのだが、内容はエログロ満載であり、ちょっと高校生の娘には薦められないのが少し残念。エディ・キャンベルによる劇画タッチの作画も、正直、俺の好みではないものの、まあ、あの内容を視覚化するに当たっては、この“雑さ”がどうしても必要だったのだろう。

ということで、途中に主人公のガル博士が19世紀末のロンドンの地理案内をしてくれるシーンがあるのだが、本書におけるもっとも象徴的な場所であるChrist Church Spitalfieldsは今でもちゃんと残っているらしい。ただし、他の観光名所からは少し離れているようなので、今回のロンドン旅行のときに訪れるのはちょっと難しいかもしれません。