1961年作品
監督 フランソワ・トリュフォー 出演 ジャンヌ・モロー、オスカー・ウェルナー
(あらすじ)
ドイツ人の青年ジュール(オスカー・ウェルナー)は、パリ滞在中に同じ文学青年のジムと知合いになり、二人は意気投合。ある日、知人からアドリア海に浮かぶ島にあるという女神像の写真を見せられ、その神秘的な美しさに魅了されるが、それから間もなくして彼等の前に現れたカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)という女性は、容貌がその女神像のイメージにピッタリだった….
フランソワ・トリュフォーの長編3作目となるヌーヴェルヴァーグの名作。
基本的に男二人と女一人の三角関係の話なんだが、奔放な性格の持ち主であるカトリーヌの先が読めない行動にジュールとジムの二人は最初から最後まで振り回されっぱなし。途中、第一次世界大戦絡みのエピソードがチラッと出てくるものの、それ以外は彼等三人を巡る恋愛話のことだけが延々と描かれている。
まあ、ジュールとジムによる女性の愛し方の違いがなかなか興味深く、カトリーヌの浮気相手やジムの恋人なんかも登場するので、脚本的には最後まで飽きるようなことはない。また、ジュールとカトリーヌが結婚するまでの前半部分におけるスピーディーで軽やかな演出は、今見ても十分新鮮に感じられる。
しかし、それにもかかわらず、俺が本作にあまり良い点数を上げられないのは、やはりカトリーヌというキャラクターがどうしても好きになれないからなんだろうなあ。一瞬たりとも自分が異性から無視されることに我慢できず、また、パートナーに何か不満があるとその仕返しに浮気を繰り返すという彼女の性格は、正直、結婚相手として最悪だと思う。
このカトリーヌに扮しているのが、公開当時33歳のジャンヌ・モロー。作中でもジュールやジムより年上という設定であり、鏡の前で化粧を落とすシーンでは目の下の隈までしっかり見せてくれているのだが、個人的な好みからすれば、彼女の存在感は本作にとって少々オーバースペック気味であり、トリュフォー演出の持ち味の一つである“軽妙さ”の邪魔になっているような気がした。
ということで、俺にとってヌーヴェルヴァーグは元々あまり得意分野ではないのだが、まあ、それだけ未見の作品も多いということで、これからも少しずつ拝見させて頂こうと思います。