2005年作品
監督 ジェームズ・マンゴールド 出演 ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン
(あらすじ)
貧しい農家に育ったジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)は、幼い頃に事故で最愛の兄ジャックを失い、また、その死んだ兄の方に目をかけていた父親とも良好な関係を築くことが出来ずにいた。軍隊生活を経た後、初恋の女性であるヴィヴィアンと結婚した彼は、プロのミュージシャンを目指し、訪問セールスの仕事の合間にバンド仲間との練習を重ねていたが、彼女にはそんな彼の夢が実現するとは到底思えなかった….
カントリー・ミュージシャンのジョニー・キャッシュの半生を描いた伝記映画。
夢が叶い、人気スターになった彼が薬物問題によって一度失脚するのは1965年のことであり、俺が本格的に洋楽に興味を抱くようになる6年前のこと。また、当時はカントリーにあまり興味がなかったこともあり、彼がカムバックを果たした後もその歌声を意識して聴いたのは、ボブ・ディランとのデュエット曲「北国の少女」くらいのもの。
まあ、そんな訳で、俺が本作を見てみる気になったのは、ジョニー・キャッシュに興味があったからではなく、この作品でアカデミー賞の主演女優賞に輝いたリース・ウィザースプーンがどんな演技を披露してくれているのかを確認するためだったのだが、そんな彼女が扮しているのはジューン・カーターというやはり実在の女性カントリー歌手。
彼女の方がジョニーより3歳年上であり、実際にカーター・ファミリーというバンドで幼い頃から音楽活動を行っていたということで、彼が少年の頃から彼女のファンだったという設定に無理はなく、このへんは“ヴィヴィアンより先にジューンのことを好きになっていた”という後の彼女との不倫関係に関するエクスキューズにもなっている。
正直言って、ジューンの出番はそれ程多くなく、これで主演女優賞というのは少々意外な感じもするのだが、まあ、コメディ嫌いのアカデミー賞としては、こういった非コメディ作品に出演しているときに賞をあげておかなければ、という計算があったのかもしれないなあ。
ということで、度々登場するステージ・シーンでの歌声は、当然、吹替えなんだろうと思って見ていたのだが、見終わってから調べたところ、主演の二人とも実際に自分で歌っているとのこと。先日拝見させて頂いた「クレイジー・ハート(2009年)」といい、あちらの俳優さんの多芸ぶりには本当に感心してしまうのだが、このことがリース・ウィザースプーンのアカデミー賞受賞に大きく寄与したのは間違いありません。