ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

2009年作品
監督 トッド・フィリップス 出演 ブラッドリー・クーパーエド・ヘルムズ
(あらすじ)
結婚式を2日後に控えたダグは、親友である教師のフィル(ブラッドリー・クーパー)と歯科医のスチュ(エド・ヘルムズ)、それに婚約者の弟のアランを伴ってラスベガスで独身最後のパーティーを開く。しかし、その翌朝、酔いつぶれたスチュ達が宿泊先のホテルで目を覚ますと、何故かトイレの中に虎がいるなど部屋の中は散らかり放題であり、しかもダグの姿がどこにも見当たらない….


ゴールデン・グローブのコメディ/ミュージカル部門で作品賞に輝いたコメディ映画。

二日酔いのせいか、困ったことに3人とも昨晩の記憶が完全に欠落しており、ポケットの中に入っていた領収証といった限られた手掛かりからダグの行方を捜すことになるのだが、その過程で、トイレの中の虎やクローゼットに寝かされていた赤ん坊、スチュの抜け落ちた歯といった数々の謎が次第に解き明かされていく。

ミステリイ仕立てのコメディというと、主人公が何か大きな犯罪に巻き込まれるというストーリーが一般的であり、途中で怪しげなチャイニーズ・マフィア風の一団が登場したときには、本作もてっきりそっちの方向に展開していくのかと思ったが、最後には本作のほのぼのとした雰囲気にふさわしく、かつ、十分に納得のいく別のオチがちゃんと用意されていた。

漏れ伝わってくる事前情報から、相当に下品なおバカ映画という印象を抱いていたのだが、実際に見てみると確かに下ネタ満載ではあるものの、脚本は良く練られており、出演者の演技にも適度の抑制が効いている等、なかなかスマートな大人のコメディ映画にまとめられている。

また、彼等の失われた一夜の記憶がデジタルカメラの映像に残されており、それが種明かし的に披露されていくエンドロールの楽しさも一級品であり、有名スターは出演しておらず、あまりお金もかけられていないのかもしれないが、最近、わが国で粗製乱造されているコメディ映画に漂っているようなB級感とは無縁の立派な作品だった。

ということで、本作はアメリカで大ヒットしたらしく、来年には続編の製作も決定しているとのこと。まあ、“失われた一夜の記憶”というネタはもう使えないのだろうが、ダグ等4人組の男の友情は見ていてとても微笑ましく、続編でもこの雰囲気を失くさないようにしてもらいたいものです。