2004年作品
監督 シェイニー・ゲイベル 出演 ジョン・トラヴォルタ、スカーレット・ヨハンソン
(あらすじ)
パーシー(スカーレット・ヨハンソン)の元に、子供の頃から離れ離れに暮らしていた母親のロレーンが他界したとの知らせが届き、彼女は母親の住んでいた家を訪れるため、ニューオーリンズにやって来る。しかし、その家には元大学教授というボビー・ロング(ジョン・トラヴォルタ)と作家志望の青年ローソンの二人が暮らしており、彼等は、ロレーンはこの家を3人に遺したのだと主張して、家から出て行くことを拒否する….
スカーレット・ヨハンソンが「マッチポイント(2005年)」の前年に出演した作品。
やむを得ず、パーシーはこの二人の男との奇妙な共同生活を始める訳であるが、最初は彼等のだらしない生活ぶりに何かと反発していた彼女も、彼等の過去や人柄を知るにつれ、次第に親近感を抱くようになる、っていう展開は、まあ、この手の作品ではお約束みたいなものなので、とりあえず許しても良い。
しかし、その後の、彼等が隠していたちょっとした嘘が発覚して、突然、この共同生活に破局が訪れるものの、さらに別の事実が明らかになることによって、目出度く関係が修復されるというストーリーには、正直、何の工夫の跡も感じられない。そればかりか、こういった出来事によってパーシーの気持ちが右から左へといとも簡単に変化してしまうというシナリオは、あまりにも単純すぎてかえって不自然だと思う。
また、ニューオーリンズが物語の舞台であり、しかもパーシーの母親のロレーンが、生前、人気歌手だったという設定のため、作中でもニューオーリンズ・ジャズからカントリーまで様々な音楽が使われているのだが、タイトルバックで流れるちょっと微妙な歌声から生じた違和感(=選曲のセンスの無さ)は、残念ながら、結局、最後まで払拭されなかった。
お目当てのスカーレット・ヨハンソンは、役柄的には“娘役”なんだけど、体の各部分の成長ぶりからしても、最早それを卒業する時期に来ているのは明らかであり、「マッチポイント」での“転向”は正解だったのだと思う。一方、共演のジョン・トラヴォルタは、年齢を重ねることにより良い味が出てきたとは思うが、まあ、どう見ても大学教授には見えないね。
ということで、監督のシェイニー・ゲイベルは、これが初監督作品という割にはなかなか良い雰囲気を出しているのだが、脚本が下手なためすべては台無し。気の毒に思って誰が書いたのか確認してみたところ、何と監督自身が脚本も担当していたということで、まあ、自業自得だった訳ですね。