イングロリアス・バスターズ

2009年作品
監督 クエンティン・タランティーノ 出演 ブラッド・ピットメラニー・ロラン
(あらすじ)
1944年、ナチス占領下のフランス。“ユダヤ・ハンター”の異名をとるハンス・ランダ大佐の魔の手から命からがら逃げ延びた少女ショシャナ(メラニー・ロラン)は、名前を変え、パリで小さな映画館を経営しながらひっそりと暮らしていた。ちょうどその頃、ユダヤアメリカ人を中心とした特殊部隊“バスターズ”を率いるアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)は、残虐な手口によってナチスを次々と血祭りに上げていた….


娘のリクエストもあって、タランティーノの新作を家族で観賞。

ひょんなことから、ショシャナの経営する映画館でナチスプロパガンダ映画「国民の誇り」をプレミア上映することになり、復讐に燃える彼女は、上映中の映画館に火を放って集まったナチス高官全員を焼き殺す計画を立てる。一方、このプレミア上映会開催の情報を入手したレイン中尉も、イタリア人映画技師に変装して上映会に忍び込み、持ち込んだダイナマイトで映画館ごと爆破してしまおうとする。

この二つの計画が同時並行的に進められる訳であるが、途中からプレミア上映会にヒトラーも出席することになるため、見ている方にはこの時点で両計画が失敗に終わることが分かってしまう。そして、その代わりにどんなクライマックスが用意されているのかと思って見ていたら、流石タランティーノ、あっさりと“史実”を無視してくれた。

まあ、そんなことはどうでも良いのだが、見る前の予想に反し、ブラッド・ピット扮するアルド・レイン中尉の率いる“バスターズ”の活躍ぶりがあまり描かれていないのが最大の不満。映画館の爆破計画にしても、あれではちょっと普通すぎであり、ショシャナの計画の方がよっぽど残虐っぽかった。

出演者では、本作で見事アカデミー賞助演男優賞に輝いたハンス・ランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツが圧倒的に目立っており、出演シーンの多さから言って彼が主演といっても全然おかしくない。イタリア人に化けた“バスターズ”の前で、彼が流暢なイタリア語を披露するシーンはまさに爆笑ものである。

ということで、タランティーノ初体験となった娘も、“バスターズ”の活躍をもっと見たかったと残念がっていたものの、彼ならではのユーモア感覚は気に入ったらしく、最後まで結構面白がって見ていた。次回作は、一緒に映画館で見ることになるのかもしれません。