1968年作品
監督 ボブ・フォッシー 出演 シャーリー・マクレーン、ジョン・マクマーティン
(あらすじ)
ニューヨークのダンスホールでホステスとして働くチャリティ・ホープ・バレンタイン(シャーリー・マクレーン)は、いまだに幸せな結婚生活を夢見ている30過ぎの独身女。現在の恋人であるチャーリーとのデートを楽しんでいた彼女は、あろうことか、いきなり彼にセントラル・パークの橋の上から突き落とされてしまい、全財産の入ったバックを持ち逃げされてしまう….
シャーリー・マクレーン主演のミュージカル映画で、原作はフェリーニの「カビリアの夜(1957年)」。
先日の「何という行き方!(1964年)」がきっかけで俺のシャーリー・マクレーン熱が久々に再発したらしく、彼女の出演作品を何本か拝見させて頂くことにしたのだが、彼女が本作で演じているチャリティは、ダンスホールに来た客の踊りの相手をしながら、その裏では売春婦まがいの行為も辞さないような女性。
しかし、そんな境遇にもかかわらず、彼女はいつか素敵な男性と結婚できる日を夢見て前向きに生きている訳であり、チャーリーのような悪い男に何度騙されても決してくじけない。こういった健気でいじらしい女性というのはシャーリー・マクレーンの持ちネタの一つであり、俺も決して嫌いではないのだが、現在の女性達からも肯定的に評価してもらえるかどうかちょっと心配。
また、本作はボブ・フォッシーの初監督作品でもあるらしく、そのせいかどうかは知らないが、上映時間147分に序曲と幕間まで付くという力の入りようなのだが、このストーリーにミュージカル大作というスタイルは全く似合わない。ドラマ部分を刈り込んで、ダンスシーンをコンパクトに纏めていたら、もっとピリッとした味のある作品になっていたと思う。楽しみにしていたサミー・デイヴィスJr.の出番が少なかったのもちょっと不満かなあ。
ということで、本作のラストは二通り撮影されていたらしく、DVDの特典映像として本編に採用されなかった別のパッピーエンドが入っていた。まあ、ミュージカル映画ということで、こういうご都合主義的なラストも許されるとは思うが、個人的には色々な解釈が可能となる本編のラスト(=天使のようなフラワーチルドレンが登場する。)の方が好みであり、その意味でもあの最後のメッセージは全くの蛇足だったと思います。