ベティ・サイズモア

2000年作品
監督 ニール・ラビュート 出演 レニー・ゼルウィガーモーガン・フリーマン
(あらすじ)
ウェイトレスをして働いているベティ・サイズモア(レニー・ゼルウィガー)はTVの昼メロ“愛のすべて”に夢中。ある晩、粗野で浮気者の夫が二人組みの殺し屋チャーリー(モーガン・フリーマン)とウェズリーに殺害される現場を目撃した彼女は、そのショックから現実と昼メロの世界の区別がつかなくなってしまい、“愛のすべて”の主人公デイヴィッド医師に会うため、ドラマの舞台であるロサンゼルスへ旅立つ....


レニー・ゼルウィガーが「ブリジット・ジョーンズの日記(2001年)」の前年に出演したコメディ映画。

ベティがロサンゼルスに向かうために使った車には、彼女の夫が殺される原因となった“ある物”が隠されており、チャーリー&ウェズリーは彼女の行方を追うことになるのだが、まさかTVドラマの主人公に会いに行っているとは夢にも思わないため、なかなか彼女の居場所を探し当てることが出来ない。

その間を使って、ベティがデイヴィッド医師(=実際は、ドラマで彼を演じている俳優のジョージ)と出会い、彼女を役の売込みに熱心な女優の卵と勘違いしたジョージが次第に彼女に惹かれていく様子がじっくりと描かれているのだが、この直ぐにも破綻しそうでいてなかなかそうはならない綱渡りのような彼女の妄想世界の描写は実にスリリング。

そして、そんなベティがようやく自分の間違いに気付くのが、彼女の夢であった“愛のすべて”のセットの中という展開は、皮肉であると同時にとてもせつなく、本作がカンヌ国際映画祭脚本賞に輝いたというのも十分頷けるところである。

まあ、そのせいでモーガン・フリーマンクリス・ロックが演じるチャーリー&ウェズリーの殺し屋コンビの影が薄くなってしまった訳だが、俺の好みからすれば最初と最後に出てくる暴力シーンはちょっと刺激が強すぎてコメディ向きとは思えない。DVDに収録されていた未公開シーンを見ると、予定では彼等の登場シーンはもっと多かったようであるが、それらをカットしたのは正しい判断だったと思う。

ということで、レニー・ゼルウィガーの「ブリジット・ジョーンズの日記」以前の作品はあまり見ていないのだが、既に記憶が曖昧になりつつある「ザ・エージョント(1996年)」を含め、今後いくつか見てみようと思います。