愛と喝采の日々

1977年作品
監督 ハーバート・ロス 出演 シャーリー・マクレーンアン・バンクロフト
(あらすじ)
アメリカン・バレエ団のバレリーナであったディーディー(シャーリー・マクレーン)は、引退後3人の子供に恵まれ、今は夫のウェインと一緒に小さなバレエ教室を開いている。そんなとき、彼女の住むオクラホマ・シティでアメリカン・バレエ団が2日間の公演を行うことになり、その中には彼女のかつての親友であり、今やこのバレエ団を代表する名バレリーナとなったエマ(アン・バンクロフト)の姿があった….


シャーリー・マクレーンアン・バンクロフトという2大女優の競演が話題になった作品。

ディーディーとエマは、20年前に「アンナ・カレーニナ」の主役の座をめぐり競い合った間柄であり、妊娠の発覚したディーディーが競争に敗れ、主役の座を勝ち取ったエマはその作品で名声を得て、今でも独身のまま現役を続けているという設定。

原題は「The Turning Point」であり、直接的にはこの20年前の“踊りか結婚か”という人生の岐路を指している訳であるが、それと同時に、子育てが一段落して生甲斐を見失いかけているディーディーと、年齢的な限界からそろそろ引退の時期を迎えようとしているエマという現在の彼女たちの状況をも表している。

まあ、シャーリー・マクレーンのキャラクターに頼り過ぎたせいか、ディーディーの人物描写が少々雑であり、なんか彼女のエマに対する嫉妬心みたいなものだけが前面に出てしまったような印象であるが、2大女優の演技合戦としては思ったほどギラギラしておらず、その点ではちょっと安心した。

その代わり(?)に、共演している大勢のプロの踊り手によるバレエシーンが意外なほど丁寧に描かれていたのは嬉しい驚きであり、ディーディーの長女エミリア役のレスリー・ブラウンやミハイル・バリシニコフ(=超有名なバレエダンサーらしい。)といった方々によるバレエは、素人の俺が見てもとても美しい。これを映画館のスクリーンで見ていたら、さぞかし凄い迫力だったと思う。

ということで、公開当時の実年齢ではシャーリー・マクレーン43歳、アン・バンクロフト46歳ということになるのだが、この歳になっても薄手のタイツ姿でバレリーナ役を堂々と演じることが出来るアン・バンクロフトの凄さは、流石だと思いました。