最近、映画を見に行っていないので、昨日から封切りになったピクサーの最新作「カールじいさんの空飛ぶ家」を家族で見に行ってきた。
本来動かないものが動いたり、主人公が老人だったりと、ジブリの「ハウルの動く城(2004年)」と共通する点はあるのだが、あちらの老人が恋に臆病な少女の仮の姿だったのに対し、こちらのカールじいさんは本物のガンコ爺。普通なら相当感情移入の難しい主人公なのだが、開始早々、彼とその妻となる女性エリーとの出会いと別れを簡潔かつ詩情豊かに紹介することによって、その難問も難なくクリアしている。
その後は、未来ある少年ラッセルとの交流や過去のトラウマに縛りつけられた悪役チャールズ・F・マンツとの確執を描くことによって、カールじいさんが、先立った妻との思い出の中だけで生きる生活に訣別し、新たな人生に向かって歩み出す、といった感じでストーリーは展開する。
まあ、毎度のことながら相当使い古されたテーマを扱っているのだが、その料理方法が巧みなため、見ていてむしろ新鮮なイメージさえ抱いてしまうのは、これも毎度のことながらお見事。ラッセルを救うため、思い出の家具を家から放り出し、軽くなった家が再び大空に飛び立つシーンは、分かっていてもやっぱり感動してしまう。
ということで、本作は今流行りの3D作品として公開されている訳であるが、専用のメガネをかけて鑑賞した映像は、飛び出すというよりも、奥行きが広がって見えるといった程の印象。メガネは重いし、300円の割増料金が取られることを考えれば、2Dで十分だったような気がします。