シェフ 三ツ星フードトラック始めました

2014年
監督 ジョン・ファヴロー 出演 ジョン・ファヴロー、エムジェイ・アンソニー
(あらすじ)
ロサンゼルスの一流レストランで総料理長を務めるカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、堅物オーナーのせいで新しいメニューに挑戦することが出来ず、料理評論で定評のある有名ブロガーからマンネリと酷評されてしまう。頭に血の上ったカールは反論を試みるが、SNSに不慣れなせいで事態は悪化する一方。結局、レストランを飛び出した彼は世間の笑いものになってしまう…


アベンジャーズ・シリーズの製作総指揮を務めるジョン・ファヴローが、監督・脚本・製作・主演を一手に引き受けたコメディ映画。

なかなか新しい就職先が見つからないカールは、離婚した元妻イネスの勧めに従い、10歳になる息子のパーシー(エムジェイ・アンソニー)と3人で故郷のマイアミを訪れる。おそらくここまでで作品全体の1/3くらいなのだが、カールがマイアミで絶品のキューバサンドイッチに出会って以降、事態は急速に改善の方向へ向っていく。

普通の脚本ならこの後にも2、3のトラブルが控えているのだろうが、本作では、元妻の元夫が中古のフードトラックを提供→カールの元同僚マーティンが助っ人参加→新装のフードトラックで商売開始→SNSで情報が拡散して人気爆発→カールとパーシーの親子の絆が回復→例の有名ブロガーもサンドイッチを絶賛→彼がスポンサーになって新レストラン開店、といった具合にハッピーエンドに向って一直線!

しかも、この間、ご機嫌なBGMに乗って美味そうなサンドイッチが鉄板上で焼かれるシーンが何度も登場し、もう、そこから生み出される多幸感は(試したことはないけど)間違いなくマリファナ級。そして、そこに更にキャスパー一家の再生というオマケまで加わるのだから、正直、こんな超ハッピーエンドにはなかなかお目に掛かれない。

そんな、凡作であれば“出来過ぎ”の批判を免れ得ないストーリーに奇妙なリアリティを付与しているのが主役を演じたジョン・ファヴローのキャラクターであり、彼の私生活に関する情報は全く持ち合わせていないものの、きっととても良い人なんだろうなあ。アベンジャーズ繋がりでロバート・ダウニーJr.やスカーレット・ヨハンソンカメオ出演してくれているのも微笑ましかった。

ということで、主人公を批判した有名ブロガーとも最後に和解するので、本作に登場する“悪人”は最初に主人公が務めていたレストランの堅物オーナーただ一人。演じている名優ダスティン・ホフマンもおそらくカメオ枠の一人であり、後半は顔を見せなくなってしまうため主人公との和解シーンを描けなかったのだろうと思います。