くもりときどきミートボール

2009年作品
監督 フィル・ロードクリストファー・ミラー
(あらすじ)
大西洋に浮かぶスワロー・フォールズ島。そこに住んでいる変人発明マニアのフリントは、いつもイワシ料理ばかり食べている島の人々に美味しい料理を食べさせようと、水から食物を作り出す機械を発明するが、試験中に暴走を始めたその機械は、街中を滅茶苦茶にした後、空の彼方へと飛び去ってしまう。毎度の失敗に肩を落とすフリントだったが、そんなとき、空から大量のチーズバーガーが降ってくる…


ジュディ・バレットという人の絵本が原作の3Dアニメ映画。

空高く舞い上がったその機械は、フリントの実験室から遠隔操作することが可能であり、島の人々のリクエストに応じてステーキやアイスクリームといった具合に様々な料理を降らせてくれる。たまたまその島を訪れていたお天気レポーターのサムも、この不思議な光景をTV中継することにより一躍人気者になるのだが、まあ、上手い話しは長続きしないのがお約束。

あくまでも子供向きの作品ということで、ご都合主義満点のストーリーなのだが、色の洪水のような映像は見ていてとても楽しいし、極めてテンポの良い演出のお陰もあって、大人が見ても十分楽しめる作品に仕上がっている。

また、最近、軽く扱われる傾向の強かった(?)父親の存在が本作で再認識されているのも俺の高評価の理由の一つであり、子供の頃、変わり者と呼ばれたフリントを優しく励ましてくれた母親の亡き後、釣具店を営む寡黙な父親ティムと主人公との、まあ、あまり上手くいっているとは言い難い父子関係の修復が本作の重要なテーマになっている。

父親としては、息子の“発明家になりたい”という夢の実現を内心で祈りつつも、ある程度のところで現実と折り合うことの必要性を諭さなければならない訳であり、本作はそんなティムの内面の葛藤を押し付けがましくなく、ユーモラスに描いている。また、子供思いの警察官アールの活躍ぶりもとても好ましい。

ということで、キャラクターの造形にもう一工夫欲しかったところではあるが、最近見たアニメ作品の中では「カールじいさんの空飛ぶ家(2009年)」と同じ位に大変面白かった。本来、3D作品なんだけど、2Dで見ても全く問題ないと思います。