人のセックスを笑うな

2007年作品
監督 井口奈己 出演 永作博美松山ケンイチ
(あらすじ)
終電に乗り遅れたという女性(永作博美)を、友人達と一緒に自宅近くまで車で送り届けたみるめ(松山ケンイチ)は、自分の通う美術学校で彼女と再会。ユリと呼ばれるその女性は、リトグラフを担当する新任の非常勤講師だった。彼女から作品のモデルになることを頼まれたみるめは、訪れたアトリエで彼女と結ばれて有頂天になるが、その後、彼女の年齢が39歳で、しかも結婚していることを知る….


山崎ナオコーラ原作の純愛小説(?)の映画化。

デトロイト・メタル・シティ(2008年)」、「L change the WorLd(2008年)」、「カムイ外伝(2009年)」と現在三連敗中の松山ケンイチが心配になった訳ではないのだが、永作博美蒼井優という豪華女優陣に惹かれて見てみることにした。

蒼井優は、みるめに対して秘かな恋心を抱いている同級生のえんちゃん役として出演しているのだが、ユリに夢中なみるめは、彼女が人妻だということを知った後もえんちゃんのことをまともに相手にしようとはしないため、彼女は三角関係の一角にもなれないままに終わってしまう。

要するに、ユリという年上の女性に恋してしまった青年みるめの純愛が本作のテーマであり、ほとんどその様子のみが丹念に描かれている訳であるが、悲しいかな、中年オヤジの俺にはそれのどこが面白いのか全く理解できない。しかも、この内容で上映時間が137分というのは長すぎであり、映画館で見ていたらきっと拷問状態だったに違いない。

最初、微笑ましく思われたユリとみるめがイチャつくシーンも、2度にわたって延々とノーカットで見せられるのは苦痛以外のなにものでもないし、えんちゃんが(せめてもの意趣返しに?)お菓子を一人で黙々と平らげるシーンも、あれだけ長いとかえって笑うタイミングを逸してしまう。

また、監督が構図に拘っていることは良く分かるのだが、それがあまりにもワザとらしいために見ているこっちの方が恥ずかしくなってしまう。そんなところも含め、まあ、経験の少ない監督さんということで、ついつい力が入り過ぎてしまったのかもしれないが、もうちょっと自分の作品を客観視する必要があったのではないだろうか。

ということで、ユリとみるめの年齢差を強調するのであれば、童顔でスタイルも崩れていない永作博美と年齢よりもしっかりして見える松山ケンイチの二人を主演に起用したことがそもそもの間違いであり、この二人のカップルでは誰がみても羨ましくはあれ、笑う気にはなれないでしょう。