エクス・マキナ

2015年
監督 アレックス・ガーランド 出演 ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー 
(あらすじ)
世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社で働いているケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、社内で行われた抽選に当選し、社長ネイサンの所有する山荘に招待されることになる。しかし、そこはネイサンが人工知能を開発するための秘密の研究施設であり、ケイレブは、開発中の女性型ロボットであるエヴァアリシア・ヴィカンダー)に対してチューリングテストを実施することになる…


アカデミー賞脚本賞にノミネートされたアレックス・ガーランドの脚本・監督によるSF映画

Wikipediaによると、“チューリングテスト”というのは「ある機械が『人間的』かどうかを判定するためのテスト」のことだそうであり、その目的のために数日間に渡ってエヴァとの会話を重ねたケイレブは、次第に彼女に対して憐れみにも似た恋愛感情を抱くようになってしまう、というストーリーは、まあ、この手の作品としては容易に想像できる展開と言って良いだろう。

何と言っても、エヴァ役のアリシア・ヴィカンダーは“超”が付くくらいの美形だし、部分的にスケルトンになっているボディは、生身の美女が自然に醸し出してしまう威圧感や高慢さみたいなものをシャットアウトするのに最適。さらに、チューリングテストの被験者という彼女の立場は、“純粋無垢な弱者”というイメージと簡単に結びつくため、まあ、ケイレブ君のみならず、彼女を見た男性のほとんどは“彼女の力になってあげたい”と思ってしまうだろう。

しかし、世界最大の検索エンジンに自由にアクセスできるというエヴァの実体は、純粋無垢とは真逆の海千山千のモンスターであり、例えばケイレブ君の検索履歴を調べるだけで彼の女性の好みなんて一発で把握できてしまう。勿論、開発者のネイサンだけはそんな彼女の危険性を十分理解していたのだが、ケイレブ君の純愛から捻り出された奇策によって万全の警備態勢に蟻の一穴を穿たれてしまう。

ということで、脚本家出身の監督らしい巧みなストーリー展開は見事であり、また、エヴァのスケルトン・ボディをはじめとする視覚効果の素晴らしさも高く評価されるべきだろう。唯一の不満(=八つ当たり?)は、本作と同時期に公開され、アリシア・ヴィカンダーも出演している「コードネームU.N.C.L.E.(2015年)」の続編が一向に公開されないことであり、ガイ・リッチーのファンである娘共々首を長くしてお待ちしております。